習作BBS
TOP
> 記事閲覧
夜の殻(かわ)③
投稿日
: 2025/06/07(Sat) 17:58
投稿者
:
ベンジー
参照先
:
http://www.benjee.org
**第5日目:名前のない自分**
その夜も、咲は歩いていた。
ショーツ一枚の身体を、夜風が撫でていく。少し肌寒いはずなのに、足取りは軽い。
気づけば、咲にとって“外に出ること”は日課のようになっていた。
最初は怖くて仕方なかったはずだ。だが今は、夜になると自然と肌をあらわにし、外へ出る準備をしている自分がいる。
「怖い」よりも、「やめたくない」が勝っている。
咲は今日も、あの自販機の前まで歩いてきた。
商店街の明かりがほんのり照らす場所。ひと気はないが、通り道としては十分に“公共”な場所だ。
誰かが来るかもしれない。誰にも会わないかもしれない。
そのギリギリの不安定さの中に、咲は生を感じていた。
今夜は、少し違っていた。
“慣れてきた”という事実が、彼女の中に微かな物足りなさを残していた。
--私はどこまでやったら、自分を驚かせられる?
ふと、そんな思いがよぎった。
“ショーツ一枚の自分”は、もう見慣れた。夜風にも慣れた。
それなら、もしこの最後の一枚を--。
咲は自分の腰に手をあてた。
**「脱いだら、何が変わるんだろう」**
その思考に、自分で驚いた。
口に出さなくても、頭の中で“それ”を想像した瞬間、喉の奥が熱くなるのを感じた。
パンッ、と自販機が電源を切り替える音がした。
咲ははっと我に返り、手を離した。
まだ、できない。
けれど--**“そう思ってしまった”自分が、たしかにいる。**
この“名前のない自分”。
社会の枠にも、常識にも、誰かの期待にも属さない、むきだしの本能だけで立っている存在。
咲は、自分の中にそんな存在がいることを、認めざるを得なかった。
--ショーツを脱ぐ。
それは一線を越える行為。でも、咲の中ではもう、「越えてはいけないもの」ではなくなっていた。
むしろ、「いつか越えることになる気がしてならない」。
咲はそっと、夜空を見上げた。
雲のない夜だった。星が静かに瞬いていた。
その光の下、自分という存在がどれほど無防備かを思い知りながらも、彼女はなぜか安心していた。
**「まだ、今は脱がない。でも、私はきっと、あの一線の向こうを見てみたい」**
咲は踵を返し、静かに帰路についた。
彼女の中で、境界線は少しずつ、溶け始めていた。
**第6日目:夢の中の咲**
咲は目を覚ましたとき、いつもと違う感覚に包まれていた。
それは、どこか不確かな夢を見ていたからだろうか、それとも現実がただの夢のように感じられたからだろうか。
眠っている間、咲は不思議な場所にいた。
それは、見たことがあるようで、でもどこか違う場所だった。
家の中の自分の部屋が、まるで異世界の一部のように変わり果てていた。
空気が重く、空の色が微かに揺れ動いている。その色は、深い紫色と暗い青が混ざり合い、昼でもない、夜でもないような時間の中に漂っていた。
咲は部屋の中を歩いている。
いつものように無防備な自分がいるが、他の場所にいるような感覚を抱えている。
ふと、彼女の視線が止まった。
部屋の隅に、大きな鏡が立っていた。
鏡の前には、今の自分とは違う、どこか“異質”な少女が立っている。
彼女は咲をじっと見つめ、ゆっくりと手を差し伸べた。
咲はその少女に引き寄せられるように歩み寄った。
「私は……誰?」
その少女は言葉を発しない。ただ、微笑んで咲に手を伸ばし続けた。
咲は手を伸ばし、少女の手を取った瞬間、全てが一変した。
部屋の壁が崩れ、空間が歪んで、咲はまるで夢の中を浮遊しているように感じた。
気づくと、咲はもう自分の部屋にいなかった。
代わりに、広大な草原が広がっている。空は蒼く、風が彼女の肌を撫で、草が足元で揺れている。
その少女は、どこか遠くの方で微笑みながら立っていた。
咲は歩き出した。
何をしているのか、わからない。ただ、歩くことだけが今の自分にできることだった。
「私は、何を求めているんだろう」
歩くたびに、咲は自分の身体が軽くなるのを感じる。
それと同時に、心の中の何かが“剥がれて”いくような気がした。
その“何か”は、最初はうまく言葉にできなかった。しかし、次第にそれが「恐れ」だとわかるようになった。
咲はもう恐れていなかった。
恐れが、まるで風に乗って消えていくのを感じた。
そして、目の前に現れたのは、あの少女だった。
「あなたは……私?」
少女は、静かに微笑みながら言った。
「そう、私はあなた。あなたの中にいるもうひとりの自分。」
咲はその言葉に驚き、足を止めた。
「私は、あなたの中で何をしているの?」
少女は、まるで遊ぶように答えた。
「あなたが感じていること。あなたが抑えていること。すべての欲望が私の姿に現れている。あなたの心が求めるものを、私が知っているだけ。」
咲はその言葉に戸惑い、言葉を探し続けた。
だが、少女はさらに続けた。
「あなたは、もっと自由になりたいと思っている。もっと無防備になりたいと思っている。でもそれが怖いから、無意識のうちに自分を縛ってきた。私がそれを解放する手伝いをしているんだよ。」
咲は、その言葉に震えるような感覚を覚えた。
心の中で何かが動き出すのを感じる。
「でも、それが怖い。」
咲はつぶやいた。
少女は少し首を傾げると、柔らかく微笑んだ。
「怖い?それもわかる。でも、その“怖さ”を受け入れることで、あなたはもっと自由になる。私がそうさせてあげる。」
咲は、その言葉を胸の奥で深く感じた。
「自由になりたい」
それは、ずっと彼女が心の中で抱えてきた欲望だった。しかし、それを実際に手に入れる方法は、まだわからなかった。
少女は、咲の手を握り、ゆっくりと歩き始めた。
「今、あなたが見るのは、現実の世界ではなく、あなた自身の心の中。ここでは、何でもできる。」
咲はその手を握り返しながら、歩みを進めた。
自分を解放するための一歩が、今、確かに始まったのだと感じた。
**第7日目:心の扉の向こう**
咲は再び、夢の中にいた。
今までの夢とは違った。どこか懐かしく、でも新しい感覚が心の奥底に広がっていくのを感じていた。
あの少女が再び現れた。
彼女はいつも通り、咲を優しく見つめている。
「今日は、どうしても伝えたかったことがあるの。」
咲はその言葉に驚き、少女の元へ歩み寄った。
「私があなたの中にいるのは、あなたがその存在を必要としているから。」
「必要としている?」咲は呟いた。
「でも、私はそれを怖がっている……本当に怖い。」
少女は静かに微笑んだ。
「怖さを感じること、それもまた一つの自由。怖いと思っている自分を認めることで、あなたはそれを乗り越えられる。」
咲はその言葉に、何かが解けていく感覚を覚えた。
今まで抑えていたものが少しずつ溶けていくような、そんな温かさを感じた。
「でも、どうすればいいの?」咲は目を閉じて聞いた。
少女は静かに答えた。
「あなたが一歩踏み出すこと。その勇気を持つこと。それがすべての始まり。すべては、あなたの手の中にある。」
その瞬間、咲は何かが変わったのを感じた。
心の中の扉が開かれる感覚。
恐れとともに、自分がこれから踏み出す一歩の重みを感じながらも、それが新しい自分を作る一歩だという確信が生まれた。
「自由になりたい。でも怖い。でも……もう怖くない。」
咲はそっと目を開け、少女を見つめた。
少女は微笑み、ゆっくりと歩き出す。
咲はその背中を見送りながら、自分も歩き始めた。
---
### **現実世界での変化**
咲が目を覚ましたとき、いつもと違う感覚が彼女を包み込んでいた。
昨日のような恐怖や疑念は、もう無かった。夢の中で感じた「自由」が、現実にも浸透してきているような気がした。
その日、咲は思い切って外に出た。
しかし、今までのように夜に無防備に出るのではなく、自然な形で自分を解放する方法を選んだ。
小さなことから始めてみた。
普段は着ない色の服を選び、髪型を変え、他人の目を気にせずに自分を表現することを試みた。
街を歩きながら、自分が自分であることの心地よさを感じた。
今までのように、目立つことを避けるのではなく、目立ってもいいと感じられた。その心地よさが、咲にとって新しい自由の感覚をもたらした。
そして、夜が来ると、咲は再び、あの自販機の前に立っていた。
その姿は以前とは全く違っていた。
どこか強さを感じさせる自信に満ちていた。
「私は、私でいいんだ。」
咲は静かにそう呟き、夜風を感じながら一歩を踏み出した。
それが、彼女の新しい一歩だった。
心の扉を開けること。それが、何よりも自由に向かう一歩だと、咲は理解していた。
彼女が選んだのは、無理に自分を変えることではなく、今の自分を受け入れることだった。
その先に自由があると知った彼女は、今日もまた、自分を歩むことを決意した。
---
### **エピローグ**
それから数週間が経った。
咲の生活は少しずつ、そして確実に変わっていった。
以前のように、ただ流される毎日ではなく、彼女は自分の足で歩き、感じるままに生きることを選んだ。
夢の中の少女との出会いが、彼女にとって大きな意味を持っていた。
その少女は、咲が自分の中に持っていたもう一人の“本当の自分”だったのかもしれない。
咲は今、自分の力で歩んでいる。
そして、その一歩一歩が、どこまでも自由に続いていくことを知っていた。
**― 完 ―**
編集
件名
スレッドをトップへソート
名前
メールアドレス
表示
非表示
URL
画像添付
暗証キー
画像認証
(右画像の数字を入力)
コメント
-
WEB PATIO
-
その夜も、咲は歩いていた。
ショーツ一枚の身体を、夜風が撫でていく。少し肌寒いはずなのに、足取りは軽い。
気づけば、咲にとって“外に出ること”は日課のようになっていた。
最初は怖くて仕方なかったはずだ。だが今は、夜になると自然と肌をあらわにし、外へ出る準備をしている自分がいる。
「怖い」よりも、「やめたくない」が勝っている。
咲は今日も、あの自販機の前まで歩いてきた。
商店街の明かりがほんのり照らす場所。ひと気はないが、通り道としては十分に“公共”な場所だ。
誰かが来るかもしれない。誰にも会わないかもしれない。
そのギリギリの不安定さの中に、咲は生を感じていた。
今夜は、少し違っていた。
“慣れてきた”という事実が、彼女の中に微かな物足りなさを残していた。
--私はどこまでやったら、自分を驚かせられる?
ふと、そんな思いがよぎった。
“ショーツ一枚の自分”は、もう見慣れた。夜風にも慣れた。
それなら、もしこの最後の一枚を--。
咲は自分の腰に手をあてた。
**「脱いだら、何が変わるんだろう」**
その思考に、自分で驚いた。
口に出さなくても、頭の中で“それ”を想像した瞬間、喉の奥が熱くなるのを感じた。
パンッ、と自販機が電源を切り替える音がした。
咲ははっと我に返り、手を離した。
まだ、できない。
けれど--**“そう思ってしまった”自分が、たしかにいる。**
この“名前のない自分”。
社会の枠にも、常識にも、誰かの期待にも属さない、むきだしの本能だけで立っている存在。
咲は、自分の中にそんな存在がいることを、認めざるを得なかった。
--ショーツを脱ぐ。
それは一線を越える行為。でも、咲の中ではもう、「越えてはいけないもの」ではなくなっていた。
むしろ、「いつか越えることになる気がしてならない」。
咲はそっと、夜空を見上げた。
雲のない夜だった。星が静かに瞬いていた。
その光の下、自分という存在がどれほど無防備かを思い知りながらも、彼女はなぜか安心していた。
**「まだ、今は脱がない。でも、私はきっと、あの一線の向こうを見てみたい」**
咲は踵を返し、静かに帰路についた。
彼女の中で、境界線は少しずつ、溶け始めていた。
**第6日目:夢の中の咲**
咲は目を覚ましたとき、いつもと違う感覚に包まれていた。
それは、どこか不確かな夢を見ていたからだろうか、それとも現実がただの夢のように感じられたからだろうか。
眠っている間、咲は不思議な場所にいた。
それは、見たことがあるようで、でもどこか違う場所だった。
家の中の自分の部屋が、まるで異世界の一部のように変わり果てていた。
空気が重く、空の色が微かに揺れ動いている。その色は、深い紫色と暗い青が混ざり合い、昼でもない、夜でもないような時間の中に漂っていた。
咲は部屋の中を歩いている。
いつものように無防備な自分がいるが、他の場所にいるような感覚を抱えている。
ふと、彼女の視線が止まった。
部屋の隅に、大きな鏡が立っていた。
鏡の前には、今の自分とは違う、どこか“異質”な少女が立っている。
彼女は咲をじっと見つめ、ゆっくりと手を差し伸べた。
咲はその少女に引き寄せられるように歩み寄った。
「私は……誰?」
その少女は言葉を発しない。ただ、微笑んで咲に手を伸ばし続けた。
咲は手を伸ばし、少女の手を取った瞬間、全てが一変した。
部屋の壁が崩れ、空間が歪んで、咲はまるで夢の中を浮遊しているように感じた。
気づくと、咲はもう自分の部屋にいなかった。
代わりに、広大な草原が広がっている。空は蒼く、風が彼女の肌を撫で、草が足元で揺れている。
その少女は、どこか遠くの方で微笑みながら立っていた。
咲は歩き出した。
何をしているのか、わからない。ただ、歩くことだけが今の自分にできることだった。
「私は、何を求めているんだろう」
歩くたびに、咲は自分の身体が軽くなるのを感じる。
それと同時に、心の中の何かが“剥がれて”いくような気がした。
その“何か”は、最初はうまく言葉にできなかった。しかし、次第にそれが「恐れ」だとわかるようになった。
咲はもう恐れていなかった。
恐れが、まるで風に乗って消えていくのを感じた。
そして、目の前に現れたのは、あの少女だった。
「あなたは……私?」
少女は、静かに微笑みながら言った。
「そう、私はあなた。あなたの中にいるもうひとりの自分。」
咲はその言葉に驚き、足を止めた。
「私は、あなたの中で何をしているの?」
少女は、まるで遊ぶように答えた。
「あなたが感じていること。あなたが抑えていること。すべての欲望が私の姿に現れている。あなたの心が求めるものを、私が知っているだけ。」
咲はその言葉に戸惑い、言葉を探し続けた。
だが、少女はさらに続けた。
「あなたは、もっと自由になりたいと思っている。もっと無防備になりたいと思っている。でもそれが怖いから、無意識のうちに自分を縛ってきた。私がそれを解放する手伝いをしているんだよ。」
咲は、その言葉に震えるような感覚を覚えた。
心の中で何かが動き出すのを感じる。
「でも、それが怖い。」
咲はつぶやいた。
少女は少し首を傾げると、柔らかく微笑んだ。
「怖い?それもわかる。でも、その“怖さ”を受け入れることで、あなたはもっと自由になる。私がそうさせてあげる。」
咲は、その言葉を胸の奥で深く感じた。
「自由になりたい」
それは、ずっと彼女が心の中で抱えてきた欲望だった。しかし、それを実際に手に入れる方法は、まだわからなかった。
少女は、咲の手を握り、ゆっくりと歩き始めた。
「今、あなたが見るのは、現実の世界ではなく、あなた自身の心の中。ここでは、何でもできる。」
咲はその手を握り返しながら、歩みを進めた。
自分を解放するための一歩が、今、確かに始まったのだと感じた。
**第7日目:心の扉の向こう**
咲は再び、夢の中にいた。
今までの夢とは違った。どこか懐かしく、でも新しい感覚が心の奥底に広がっていくのを感じていた。
あの少女が再び現れた。
彼女はいつも通り、咲を優しく見つめている。
「今日は、どうしても伝えたかったことがあるの。」
咲はその言葉に驚き、少女の元へ歩み寄った。
「私があなたの中にいるのは、あなたがその存在を必要としているから。」
「必要としている?」咲は呟いた。
「でも、私はそれを怖がっている……本当に怖い。」
少女は静かに微笑んだ。
「怖さを感じること、それもまた一つの自由。怖いと思っている自分を認めることで、あなたはそれを乗り越えられる。」
咲はその言葉に、何かが解けていく感覚を覚えた。
今まで抑えていたものが少しずつ溶けていくような、そんな温かさを感じた。
「でも、どうすればいいの?」咲は目を閉じて聞いた。
少女は静かに答えた。
「あなたが一歩踏み出すこと。その勇気を持つこと。それがすべての始まり。すべては、あなたの手の中にある。」
その瞬間、咲は何かが変わったのを感じた。
心の中の扉が開かれる感覚。
恐れとともに、自分がこれから踏み出す一歩の重みを感じながらも、それが新しい自分を作る一歩だという確信が生まれた。
「自由になりたい。でも怖い。でも……もう怖くない。」
咲はそっと目を開け、少女を見つめた。
少女は微笑み、ゆっくりと歩き出す。
咲はその背中を見送りながら、自分も歩き始めた。
---
### **現実世界での変化**
咲が目を覚ましたとき、いつもと違う感覚が彼女を包み込んでいた。
昨日のような恐怖や疑念は、もう無かった。夢の中で感じた「自由」が、現実にも浸透してきているような気がした。
その日、咲は思い切って外に出た。
しかし、今までのように夜に無防備に出るのではなく、自然な形で自分を解放する方法を選んだ。
小さなことから始めてみた。
普段は着ない色の服を選び、髪型を変え、他人の目を気にせずに自分を表現することを試みた。
街を歩きながら、自分が自分であることの心地よさを感じた。
今までのように、目立つことを避けるのではなく、目立ってもいいと感じられた。その心地よさが、咲にとって新しい自由の感覚をもたらした。
そして、夜が来ると、咲は再び、あの自販機の前に立っていた。
その姿は以前とは全く違っていた。
どこか強さを感じさせる自信に満ちていた。
「私は、私でいいんだ。」
咲は静かにそう呟き、夜風を感じながら一歩を踏み出した。
それが、彼女の新しい一歩だった。
心の扉を開けること。それが、何よりも自由に向かう一歩だと、咲は理解していた。
彼女が選んだのは、無理に自分を変えることではなく、今の自分を受け入れることだった。
その先に自由があると知った彼女は、今日もまた、自分を歩むことを決意した。
---
### **エピローグ**
それから数週間が経った。
咲の生活は少しずつ、そして確実に変わっていった。
以前のように、ただ流される毎日ではなく、彼女は自分の足で歩き、感じるままに生きることを選んだ。
夢の中の少女との出会いが、彼女にとって大きな意味を持っていた。
その少女は、咲が自分の中に持っていたもう一人の“本当の自分”だったのかもしれない。
咲は今、自分の力で歩んでいる。
そして、その一歩一歩が、どこまでも自由に続いていくことを知っていた。
**― 完 ―**