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fld_nor.gif 『転生少女ミリアの冒険』
投稿日 : 2025/06/15(Sun) 05:02
投稿者 ベンジー
参照先 http://www.benjee.org
『転生少女ミリアの冒険』の本文です。

ちょっと長いです。
掲示板の仕様上、下から上に読み上げる形になっています。
ちょっと読みづらいかもしれませんが、
エッチな要素を挟みつつ、割と本格的なファンジー物になっていると思います。
最後までお付き合い頂ければ幸いです。
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件名 第七話:ギルドの昇級試験!ライバル登場とクラウディアの誇り
投稿日 : 2025/06/16(Mon) 17:06
投稿者 ベンジー
参照先 http://www.benjee.org
第七話:ギルドの昇級試験!ライバル登場とクラウディアの誇り

温泉洞窟の封印石を回収し、ギルドへと戻ったミリアとクラウディア。
ギルドの受付嬢は、嬉しそうに二人を迎えた。

「封印石の回収、お疲れ様でした! この成果により、お二人は“Dランク”昇格候補に選ばれました!」

「えっ!? やったーっ!! Dってことは、あとAまで三歩ってことだよね!?」

「Cの次はBなんだけどな……」

「さっそく昇格試験を受けていただきます。内容は──模擬戦です」

---

### ~ ギルド訓練場 ~

「模擬戦か~。何と戦うんだろ? また触手だったりして♥」

「バカなこと言ってないで。ちゃんと真面目にやりなさい」

訓練場の観客席には、ギルドの他の冒険者たちが集まり、ざわついていた。
そして、ミリアとクラウディアの前に現れたのは──

「久しぶりね、クラウディア。まさかあんたが田舎ギルドで地味に生き延びてるなんて」

金髪巻き髪、銀の細剣を携えた凛々しい少女が現れた。

「お前は……エレナ=フォン=エッセンシャル!? 王都騎士学校の主席だった……!」

「ええ。あの頃はあなたの“潔癖で面倒くさい正義感”に付き合ってやってたけど、
私はあんたのように野良冒険者になるつもりなんてなかったのよ」

「クラちゃん、お友達? ちょっと怖そうな感じだけど」

「黙っててミリア。こいつ、最悪に性格悪いから」

「ちょっと! その無礼な態度、試合で叩き潰してあげるわ!!」

---

### ~ 試合開始:クラウディア vs エレナ ~

「剣士同士、正々堂々、参ります!」

試合開始の合図とともに、ふたりの刃が火花を散らす。
ミリアはフィーフィと一緒に、手に汗握りながら観戦していた。

「クラちゃん、結構かっこいいじゃん……!」

エレナは素早い突きを連続で繰り出すが、クラウディアはすべて見切り、受け流していく。

(あの頃より、腕が鈍ってない……でも)

(私は、ミリアと旅して、変わったの。もっと柔らかく、もっと自由に──)

「ふん、また同じ型! つまらない剣術ね!」

「同じに見える? じゃあ、これはどう?」

\キィィィン!/
クラウディアが低い構えから繰り出した剣閃は、エレナの防御をすり抜け──

「ッ……!?」

剣先が、エレナの肩に“優しく”触れる。

「……勝負、あり。クラウディアの勝利!」

観客席がどよめく。
勝利の瞬間、クラウディアは剣を収め、静かに一礼した。

「貴族の名がどうとか、騎士学校の成績がどうとか──今の私にはどうでもいい。
私は、ミリアの“仲間”としてここにいる。それが、私の誇りよ」

「……っ。なんであんた、そんなに変わったのよ……」

エレナは唇を噛み、悔しそうに目を逸らす。

---

### ~ その夜・ギルド宿屋 ~

「クラちゃん、めっちゃかっこよかったー!! 好き!! 結婚しよ!!」

「落ち着け、ばかミリア。私は、恋愛対象としてお前を見てないって何度言えば──」

「じゃあ、夜這いとかしても無反応ってこと……?(キラキラ)」

「寝てても叩き起こして追い出す。即決で」

「うぅ、でもなんか、今日のクラちゃんすっごく“ヒロイン”だったよ?」

クラウディアは一瞬黙り、照れくさそうに髪をかき上げた。

「……それは、ありがとう」

「えへへ~♥」

---

## 次回予告:

**第八話『魔王軍の襲撃!ギルドの危機と目覚める力』**
ミリアたちが束の間の休息を楽しむ中、リルゼ率いる魔王軍がギルドを急襲!
ミリアの中に眠る“異質な何か”がついに動き出す──!?

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件名 第六話:ギルドの試練と温泉事件! 揺れるバスタオルと揺れる乙女心
投稿日 : 2025/06/16(Mon) 17:05
投稿者 ベンジー
参照先 http://www.benjee.org
第六話:ギルドの試練と温泉事件! 揺れるバスタオルと揺れる乙女心

「お前たちに任務を与える。試練の温泉洞窟へ行き、封印石を回収してこい」

ギルドマスターの老騎士がそう言ったとき、ミリアの目がキラリと光った。

「お、おんせん!? ってことは、裸で混浴で秘湯で……アレとかコレとかソレとか──っ!!」

「いや、言葉が一文字も繋がってないし!? 落ち着け、ミリア!」

クラウディアが全力でミリアの口を塞ぐ。
いつものことながら、ギルド職員が後ろで苦笑していた。

---

### ~ 温泉洞窟への道中 ~

「あぁ~温泉って最高だよね。前世でも、異世界モノって言ったら温泉回は必須だったもん!」

「その前世基準やめろ。こっちは任務中なんだ」

険しい山道を進みつつも、ミリアは鼻歌交じりにスキップするほどの上機嫌。
クラウディアはというと、警戒を怠らず、前方の崖道を注意深く見つめていた。

「それにしても、リルゼの話……気になるよね」

「……あの女のことは、ギルドでも調査中だ。ミリア、無理はしないで」

クラウディアの声が、少しだけ優しかった。

「え? 心配してくれてるの? えへへ、やっぱ私たち──」

「違う。あくまで仲間として。勘違いしないでよね」

「デレた!? 今、ツンからほんのりデレた!?」

「デレてない!!」

---

### ~ 温泉洞窟(内部)~

到着した洞窟の内部は、地熱で蒸気が立ち込める神秘的な空間だった。
奥に封印石があるとのことで、二人は進んでいく。

途中、転倒→岩にぶつかって服が裂ける→タオルで隠す、という軽くサービスシーンを挟みつつ(※描写は控えめに)、ついに温泉地帯へ到着!

「っは~~~!! 天国!! 女湯って書いてないし、もう入っていいよね!? フィーフィ、見張りよろしくー!」

「ちょ、ミリア! 一応、周囲の確認を──」

\ザブンッ/
即ダイブするミリア。

しばらくして、クラウディアも渋々温泉に浸かる。

「……ん。気持ちいい……」

「でしょ~? ああもう、やっぱ温泉は裸と心の付き合いだよ~」

「裸の付き合いなんて言葉、あんたのせいで誤解される……」

そんな中、洞窟の奥で封印石が反応し、軽く地響きが起きた。

\ゴゴゴゴ……/

「へ? な、なにこの揺れっ!?」

「なにか出る……!? えっ、今この格好で!?」

「裸で戦うとか、前世の薄い本か!! バスタオルしっかり握っとけぇっ!!」

---

### ~ 湯けむり戦闘モード! ~

突如現れた魔石獣は、蒸気を吸収して巨大化する特殊個体。
不意を突かれた二人だが──

「ふんっ、私を誰だと思ってんの。**バスタオル一枚でも最強、それがミリアだぁ!!**」

クラウディア(※本気でやめてほしい)

湯けむりの中、タオルを翻して繰り出すミリアの拳と蹴り。
蒸気が舞い、まるでダンスのような戦いにクラウディアも加勢する。

「……変なやつだけど、妙に頼りになるのよね」

「聞こえてるー! 変なやつって何ー!?」

---

## エピローグ(夜、湯上がり)

戦いを終えて、洞窟の休憩所に戻ったミリアとクラウディア。

「ふぅ……明日、ギルドに封印石持っていけば完了だね」

「……ねえ、ミリア」

「ん?」

「リルゼの言葉、気にならないの?」

ミリアはしばらく黙っていたが、やがて笑った。

「気になるけど、私は私だから。
よくわかんないことは、今は置いといて──目の前の冒険を楽しまなきゃ損でしょ!」

「……やっぱ、あんたって変よ」

「えへへ~♥ 褒められた~!」

「褒めてない!!」

湯冷めしないように、ふたりは毛布を肩にかけながら、月を眺めていた。

---

### 次回予告:

**第七話『ギルドの昇級試験!ライバル登場とクラウディアの誇り』**
新たな登場人物!ギルド内での地位を賭けた模擬戦が勃発!?
クラウディアにフォーカスを当てた少しシリアス&燃える回をお届けします🔥

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件名 第五話:魔王軍の影と、彼女はミリアを“知っていた”
投稿日 : 2025/06/16(Mon) 17:04
投稿者 ベンジー
参照先 http://www.benjee.org
第五話:魔王軍の影と、彼女はミリアを“知っていた”

──どこか、暗い地下空間。
魔法陣の灯りがぼんやりと壁を照らしている。

「……つまり、件の少女が現れた、ということか」

重々しい声が響く。

魔王直属の幹部たちが一堂に会していた。
黒衣の騎士、炎を纏う魔導士、そして──漆黒のドレスを纏う女が、その報告に口角を上げた。

「フフフ……ついに“彼女”が来たのね。可愛い可愛い、転生者ちゃん♥」

「……リルゼ。お前、彼女のことを知っているのか?」

「ええ。知らないわけないじゃない。だって、**あの子の魂――一度、私が“見た”もの**」

他の幹部たちが不穏な気配を感じ取る中、リルゼと名乗った女幹部はくすくすと笑いながら立ち上がった。

「お願い。ちょっとだけ、見てきてもいいかしら?
ミリアちゃんに……ご挨拶を」

---

### ~ 小さな町・ギルド ~

翌朝。ミリアとクラウディアは、新たな依頼をこなすべくギルドに顔を出していた。

「ふふーん♪ この辺のクエスト、もうほとんど消化しちゃったね。私たち、もう一流じゃない!?」

「ミリア、それは駆け出しの町だからよ。世界はもっと広いの」

そんな会話をしていると、ギルドの扉が開き、音もなく一人の女が入ってきた。

全身を艶やかな黒で包み、妖しい香を纏った女――リルゼ。
場の空気が一瞬で凍りつくような、異質な存在感を放っていた。

「……はじめまして。冒険者のミリアちゃん、ね?」

「え? うん、そうだけど……誰?」

「ふふふ。あなたに会いたくて、遠くから来たのよ。
あなたの“中身”……とても、懐かしい匂いがするから」

「中身……?」

ミリアが困惑していると、クラウディアが一歩前に出て睨みつけた。

「あなた……何者?」

「私はリルゼ。魔王様に仕える者……そして、ミリアちゃんの“昔”を知っている女よ」

クラウディアの表情が凍りつく。

「魔王軍……!」

ギルドの中がざわつく。だがリルゼはそれをまるで意に介さない。

「心配しないで。今日は戦いに来たわけじゃないの。
ただ――少し、触れてみたくなったの」

ふわり、とリルゼが手を差し出すと、空気が歪んだ。

\バチィィッ!/

フィーフィの結界が自動で起動し、リルゼの手をはじく。

「っ、なんなのこの妖精ちゃん。意外とやるじゃない……」

「ミリアには……指一本触れさせないよっ!」

「へぇ……? じゃあ、もっと遊びたくなっちゃうわね」

その瞬間、リルゼの瞳が怪しく光った。

ミリアの意識が、一瞬、暗転する。

 ――リルゼの視線が、“魂の奥”を覗こうとしてきた。

「う……っ!? な、なに……今の……?」

「フフ……やっぱり。**あなた、本当に“異物”なのね。この世界にはいないはずの……存在**」

「異物……?」

「また会いましょう、ミリアちゃん。もっと“可愛がって”あげるために」

黒い影のように消えていくリルゼ。

残されたギルド中が、沈黙に包まれた。

---

### ~ その夜・宿屋の部屋 ~

クラウディアは、一人窓辺で月を見つめていた。

あの女の言葉が、頭から離れない。

(……異物。昔を知っている。魂を覗く。
 いったい、ミリアって何者なの……?)

それでも、今はまだ――

「……ミリアのこと、信じてる。私は」

小さく呟くその声は、ミリアには届いていなかった。

---

次回:
**第六話『ギルドの試練と温泉事件! 揺れるバスタオルと揺れる乙女心』**
リルゼの襲来でギルドは警戒態勢。ミリアたちは、訓練と休息を兼ねて温泉街の試練へ!
もちろん、**温泉とバスタオルの攻防戦**もあります♡

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件名 第四話:山奥の魔獣と、ミリアのちょっとアブない実験
投稿日 : 2025/06/16(Mon) 17:02
投稿者 ベンジー
参照先 http://www.benjee.org
第四話:山奥の魔獣と、ミリアのちょっとアブない実験

クエストボードの前で、ミリアは再び目を輝かせていた。

「きたきたきた! “山道の調査依頼”。この“山奥で未知の魔物が目撃されました”って書いてあるのがポイントだよクラウディア!」

「不安しかないわ。未知の魔物って、大抵ロクなものじゃないじゃない……」

「でも、これこそ冒険って感じじゃん!? しかも“魔物の粘液が周囲に残っていた”って! これもう、**触手スライム**フラグじゃない!?」

「なにその嫌な確信。というか、なぜそんなに詳しいのよ……」

「だって見てたもん! 前世でアニメとかラノベとか、いっぱい見たんだもん!」

クラウディアは思わず溜息をついた。

――この子、本当に前世で何してたのかしら……。

---

### ~ 山道・深い森の中 ~

昼を過ぎ、薄暗い森の中を進む二人と一匹。フィーフィがほわっと光って先導している。

「この辺、ちょっと空気が変だよ……。ねばつくような……妖精的にキモチワルイ感じがするの」

「うむ。これは確実に触手系のにおいがするね!」

「だから、何その“触手センサー”みたいな発言……」

ミリアがきょろきょろと周囲を見渡すと、ぽつんと、妙に光沢のあるぬめぬめした塊が見えた。

「おぉぉー! いたいたいた!! 粘液モンスターだぁぁ!!」

スライムのような姿をしているが、色は黒く、ところどころから無数の触手がにゅるにゅると伸びている。それは明らかに、“ただのスライム”ではなかった。

「これは……見た目からしてヤバいやつね」

「これは! 実際に“アレ”を再現する絶好のチャンス! よし、フィーフィ、バリア解除して!」

「えっ、えっ!? ミリア!? なにするの!?」

ミリアはひょいっとマントを脱ぎ捨て、ぴちぴちした軽装のインナー姿になってスライムの前に立ちはだかった。

「ふふふ……触手モンスターは、こう……ヒロインをねっとり捕まえて、ぬるぬるにしてから、こう……ぐねぐねって!」

「ミリアーーッッ!? バカなの!? 正気なの!? なんで“される側”やろうとしてんのよぉぉ!!」

クラウディアの叫びが森にこだましたが、ミリアは耳を貸さない。

「うぉぉぉ……こいよ……触手っ……私をどうするのか見せてみなっ……!!」

\ヌル……ギュッ/

触手がミリアの腕を、腰を、太ももを絡め取り、すさまじい勢いで締め上げていく。

「ぬおおおお!? い、意外と痛い!? ちょっ、やばっ、やっぱやめ――」

 ――と、叫びかけたそのとき。

「……って、え、なにこれ……ちょっと、気持ちいいかも……?」

 唐突な一言に、フィーフィとクラウディアが固まった。

「こ、こいつ……まさかのM気質!?」

「いやいやいやいや!! そんなの知らないし、理解したくないし!!」

\ドガァァァ!!/

ミリアの叫びを遮ったのは、クラウディアの全力突撃だった。

剣を横薙ぎに振ると、スライムの体が真っ二つに裂け、触手がばちばちと痙攣しながら溶けていく。

「――なにやってんのよバカぁぁぁぁぁあああ!!!」

バシィッ!!(平手)

---

### ~ 帰り道 ~

「うぅぅ……クラウディア、顔こわい……」

「当たり前でしょ。何考えてるのよ本当に……!」

クラウディアは珍しく怒鳴らなかった。静かに、だが冷たく言い放つ。

「もし私がいなかったら、どうなってたか分かってる?」

「……うん、ごめん。でも、どうしても試してみたくて……」

クラウディアはしばらく沈黙した後、ぽつりと呟く。

「あなたの強さには、助けられてる。でも――強いからって、何でもやっていいわけじゃない。命を、そんな風に雑に扱わないで」

その声には、怒りよりも、**不安**と**戸惑い**が滲んでいた。

――どうしてこの子は、こんなにも危なっかしいのか。

――それでも、なぜか放っておけないのは、どうしてだろう。

クラウディアは自分の胸に芽生えつつある感情の正体を、まだ知らなかった。

---

次回:
**第五話『魔王軍の動き? 謎の女幹部と“ミリアの正体”』**
ついに影を落とす魔王軍。ミリアを知る謎の女が登場――!?
新展開&ちょっと背筋がぞくっとする展開をお届けします!

---
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件名 第三話:ミリア、初クエスト!ゴブリンよりもヤバい相手!?
投稿日 : 2025/06/15(Sun) 15:59
投稿者 ベンジー
参照先 http://www.benjee.org
第三話:ミリア、初クエスト!ゴブリンよりもヤバい相手!?

ギルドのクエストボードの前で、ミリアはテンション高めにジャンプしていた。

「うぉぉーっ! ついにキター! 初クエストぉぉぉっ!!」

「はいはい。騒がないの。子どもみたいよ」

後ろからクラウディアが冷たい目で睨む。ミリアはビシッと指を突き上げる。

「なにを言うかクラウディアよ! この瞬間こそ、異世界転生者の第一歩ッ! スライムかゴブリンと戦うところから始まって、最後には魔王をぶっ倒すまでがテンプレなんだから!」

「それ、本当にテンプレなの……?」

「テンプレです!(断言)」

そんな押し問答をよそに、受付の中年男性が微笑む。

「まぁまぁ。じゃあ、これなんてどうだ? 迷子のニワトリ探し。村の外れで姿が見えなくなったらしい。簡単な仕事だし、初仕事にはちょうどいいぞ」

「えー……地味ー……。でもまぁ、仕方ないか」

しぶしぶながらも、クエストを受け取るミリア。クラウディアはむしろ安心していた。

「それくらいでちょうどいいわ。あなた、何をしでかすかわからないもの」

「ひどっ!?」

---

### ~ 村の外れ、木立の向こう ~

「にわとりー? どこいったー?」

草むらをかき分け、ミリアが声を上げる。フィーフィは彼女の肩にちょこんと乗って、くるくる回りながら辺りを見渡していた。

「ミリア、あっちに足跡っぽいのがあるよ!」

「ナイスフィーフィ! って、わ、なんか奥のほうに穴が……」

木の根元にぽっかり開いた横穴。獣の巣にしては広すぎるし、妙な臭いが漂っている。

「これって、もしかして――」

\グギャァァ!/

「でたぁぁぁ! ゴブリンんんん!!」

数匹の緑色の小鬼が、穴から這い出してくる。手には粗末なこん棒とサビたナイフ。

「いやこれ、ニワトリじゃないし! てか、テンプレ過ぎて逆に感動!!」

クラウディアが剣を抜く。

「ミリア、下がって。相手はゴブリンでも油断しちゃ――」

「突撃ぃぃぃ!! ※アニメで見たやつ~!」

「ちょっ!? 聞いてなさいってばぁぁぁ!!」

ミリアはクラウディアの制止も聞かず、真正面からゴブリン軍団に突っ込んだ。

---

### ~ 数分後 ~

「……終わった……」

立ち尽くすクラウディアの前に広がるのは、爆発の痕跡と、地面に転がる大量のゴブリンの残骸。そして、その中心でポーズをキメているのはもちろん――

「ふっ……勝った……異世界知識(主にアニメ)のおかげだな……!」

「ちょ、何この穴!? 地面、軽くクレーターになってるわよ!? 何やったの!?」

「んー? ちょっと魔力を練って、範囲攻撃っぽく“どーん!”ってしたらこうなった!」

「ざっくりすぎるわよ説明がッ!」

「でもこれで、ニワトリ探しは解決☆ たぶん巣の奥に捕まってたんでしょ!」

「は……? 本当にいたの……?」

クラウディアが顔をしかめると、ちょうど奥から「コケェ……」という弱々しい鳴き声が聞こえた。

「あ、当たりかよ……」

---

### ~ 村にて ~

「ありがとうありがとう! うちのピヨたんを助けてくれて!」

村人に頭を下げられ、ドヤ顔で胸を張るミリア。

「ふっ……この世界の平和は、ミリア様が守るのだ!」

「でも、なんで服が……?」

「うん……ちょっと爆風で飛んだ」

「ちゃんと鎧、着てって言ったのにぃぃぃ!!」

---

次回:
**第四話『山奥の魔獣と、ミリアのちょっとアブない実験』**
魔物の気配が漂う山へ――ミリア、まさかの“触手観察”!?
クラウディア、限界ブチ切れ……!?お楽しみに!

---
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件名 第2.5話:ワンピース危機一髪!
投稿日 : 2025/06/15(Sun) 15:56
投稿者 ベンジー
参照先 http://www.benjee.org
第2.5話:ワンピース危機一髪!

その日の夕方、ミリアはギルド横の宿舎に通されていた。

「お風呂もあるし、ご飯も出るし、クラウディアって意外と優しいのかも~♪」

鼻歌交じりに服を脱ぎ、湯船にちゃぷん。

「ふぃ~。文明って最高……あ、でもこの世界って前世より風呂少ないのかな……じゃあ、温泉探さなきゃ!」

妄想モード、起動。

「温泉イベントって言ったら、やっぱり混浴よね~。バスタオル一枚で、壁越しに男子の声がして――」

\ガラッ/

突然、宿舎の扉が開いた。

「そこの子ぉぉぉ!! それはうちの孫のワンピースだよぉぉぉぉ!!」

現れたのは、村の主婦と、その後ろに立つ泣きそうな金髪の少女(たぶん孫)。

「あっ」

全裸で湯船にいるミリア、固まる。

「ちょ、ちょっと待って!? あの、これは決して盗んだわけではなくてっ! あ、あの、ほら! 転生者って、服ないじゃん!? ね!? 仕方なくっていうか!」

「説明はあと! 服、返してもらいますっ!」

ゴッソリと持ち去られるワンピース。

「えっ……うそでしょ!? マジで、全裸じゃん私!? どうすんのコレ!? フィーフィ!? 結界で服とか出せないの!?」

「服はムリ……バスタオルくらいなら……うぅ、がんばる……!」

数分後──

ギルドにて。

バスタオル一枚で登場するミリア。

「うぅぅぅぅううぅぅ! 恥ずかしすぎて死にそう!! クラウディアぁぁぁ、服買ってぇぇぇ!!」

クラウディア、頭を抱える。

「……もう、この子……どうしてこうなるの……」

こうしてミリア、**服のありがたみ**と、**盗んじゃダメな教訓**を身をもって学んだのであった。

---
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件名 第二話:ビキニアーマーと堅物貴族令嬢
投稿日 : 2025/06/15(Sun) 15:54
投稿者 ベンジー
参照先 http://www.benjee.org
第二話:ビキニアーマーと堅物貴族令嬢

「えーと、まずは冒険者ギルド的なやつに行けばいいんだよね? 異世界テンプレその1ってやつ!」

朝の村を鼻歌まじりで歩くミリア。服はどこかの民家から拝借したシンプルなワンピース(勝手に脱いだ洗濯物)。胸元からはフィーフィが顔を出している。

「ミリア、堂々と盗んできたらダメだよー!」

「借りてるだけだよっ☆ 後で返すつもりだったもん!」

言い訳になっていない言い訳をしながら、目指すは村唯一の大きな建物──ギルド。

中に入ると、酒臭い空気と、筋肉率の高い男たちの視線が一斉に集中する。

「ふっふっふ……こういうのはね、堂々と胸を張って歩くのがコツなんだよ!」

ミリア、ドヤ顔で突撃。

「ようこそギルドへ……って、なによその格好は!」

受付カウンターの向こうで、鋭い声が響いた。そこにいたのは、ぴっちりした制服を着た、黒髪ロングの少女。背筋はピンと伸び、目つきはキツい。見るからに“お堅い”タイプ。

「ふむ……わかるぞ、そのビジュアル……これは間違いなく、サブヒロイン枠!!」

「……は?」

「いやいや! そっちの話じゃなくて! えっと、冒険者になりたくて来ましたー!」

「あなた、身分証明書は? 年齢確認は? 職業は? 登録に必要な書類はありますか?」

「えー……異世界転生者って、そういうの要らないって聞いたけど……?」

「はぁ……」

盛大にため息をついた少女は、カウンターから出てきて名乗った。

「私はクラウディア・フォン・アーデルハイト。この村の領主家の娘であり、ギルド臨時管理官です。非常識なあなたの行動は、すべてこの私の管理下に置かれます」

「つまり、ツンデレ系のお目付け役ってわけだね☆ きたコレ!」

「……あのね」

クラウディア、軽くこめかみを押さえる。

「まず服を着替えなさい。胸元が緩すぎるし、裾が短すぎて……見えてるわよ」

「ちょっ!? 今のはたまたま風が! ちょっとビキニアーマーの素材探してただけでっ!」

「着ない。絶対に着せない。そんな露出狂みたいな装備、私の目の前では禁止です!」

「えぇぇぇぇっ!!? 人生の目標がぁぁぁぁ!!」

ギルドの受付で大騒ぎする二人を、冒険者たちは生暖かく見守っていた。

こうして、ミリアはクラウディアという堅物のツッコミ役と出会い、異世界での第一歩を踏み出したのであった。

---

次回予告:
第三話『初クエスト!ゴブリン退治と触手モンスター!?』

ミリア、最初のクエストで早くも暴走!? 謎のモンスターに興味津々!
クラウディアの堪忍袋は限界寸前!? 次回もお楽しみに☆
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件名 第一話:空から美少女が降ってきた件について
投稿日 : 2025/06/15(Sun) 05:04
投稿者 ベンジー
参照先 http://www.benjee.org
第一話:空から美少女が降ってきた件について

その日、辺境の村ローデルは、いつもと変わらぬ平和な朝を迎えていた。

羊はモフモフしていて、村人は畑を耕し、子供たちはドブで遊んでいる。そんな、素朴でのどかな村に──空から。

「うわああああああぁぁぁぁッ!!!」

空から、女の子が降ってきた。

「ちょ、ちょっとぉぉ!? これ、マジで死ぬヤツ!? ねぇ!? 誰かパラシュートとか!? 羽根とか!? フィーフィー!? なにか出してよぉぉ!!」

風を切り裂く絶叫。落下速度は加速度的に増し、空を滑空する鳥たちが慌てて避けていく。

「うぅ、こ、こうなったら……アレしかないっ……!」

少女は真顔で、ビキニアーマーを召喚するポーズを取った。何も出なかった。

そして──

ドカァン!!

衝撃とともに土煙が舞い、村の広場に大きなクレーターができた。数秒後、ゴホゴホと咳き込みながら立ち上がったのは、少女。

「……うん。着地成功っ☆ 地面が思ったより柔らかくて助かったかも。っていうか、私って転生者だし? こういうの、テンプレだよね! よし、異世界ライフ、スタートってことで!!」

彼女の名は、**ミリア**。15歳、記憶喪失の転生少女(自称)。異世界知識はネットとアニメとラノベから。やたらと元気、ちょっとおバカで、頭のネジは緩め。なぜか異様に戦闘が強い。

「……っていうかさ、フィーフィ、あんたどこ行ったのよ」

ひょこっ、と胸元から顔を出したのは、妖精フィーフィ。

「ちょっとぉ! なんで最後の最後で自分だけ安全なとこに逃げたのよー!」

「いやぁ、ごめんねミリア。でも! ちゃんと防御結界張ってたから無傷でしょ? わたし、役に立ったでしょ?」

「うーん……まぁ、ナイスってことでいっか☆」

そんな調子で、ミリアの異世界大冒険は始まる。

「ねぇ、フィーフィ。ところで、なんで私、ハダカなの……?」

ミリアの問いに、

「知らなーい。昔からそうだったんじゃない」

自信満々に応えるフィーフィだった。


次回、ミリア、村の洗礼を受ける!? ついにビキニアーマーと遭遇か!? お楽しみに!!

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