『鑑賞用オブジェ』


                          TEKE・TEKE

今日はどんなポーズをとらされるのだろう?どこまで見られてしまうのだろうか?
もう私のカラダで他人の目に触れていない部分など無いのに、見られると考えてだけで濡れてきてしまう。
これから私は一晩、恥ずかしい姿で拘束されて晒しもの、エロティックオブジェとなるのだ。

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ことの始まりは私が西田教授からそのアルバイトの要請を受けたことだった。
私、羽村希は都内の私立美大1年生だ。
母親は反対したが父が賛成してくれたおかげで、一浪の末なんとか入学することができた。
しかし、何とか学費と生活費は仕送りしてもらえたものの、教材費までは手がまわらなくて、私は空いた時間をすべてバイトに費やしていた。
美大生は一部の裕福な生徒を除けば皆貧乏である。
教材費が他の学部にくらべて非常に多くかかるのだ。
さらに卒業したとしても、絵だけで食っていけるのはほんの一握り。
美術教師や、デザイン会社に就職できればよいほうだ。
ほとんどは美術とは関係ない職種についている。
そしてその職種は学生時代のバイト先が圧倒的に多かった。

「ヌードモデルのアルバイトですか?」
「そう、知り合いの美術教室の主催者に急遽頼まれてね。予定していたモデルさんが来られなくなったんだ」
「なぜ私に?やりたい学生は他にも何人かいると思いますが?」
そう、絵画教室のヌードモデルは美大生にとっては人気のアルバイトなのだ。
普通アルバイトの時給は¥1,000くらいだが、ヌードモデルは最低でも時給¥2,000、2時間で¥10,000くれる場合もある。
全裸とはいっても、一番肝心な部分は肌色のテープを張ることになっている。
ただし見知らぬ大勢の男女にずっと見続けられることになるし、長時間同じポーズでいなければならないため、それに耐えられるかどうかだ。
そしてもっとも重要なのが均整の取れた肉体を持っているかどうかだった。
人体のデッサンは絵画の基本である。
ヌードデッサンは人の筋肉がどのようについているのかを観察し、それを画用紙に再現することが最も重要だ。
つまり、むきむきの筋肉マンとまではいかなくてもそれなりに筋肉が綺麗に発達していなければならない。
ちょっと容姿が良いからといって簡単にできる訳ではないのだ。
私は幼いころから器械体操を習っていたのでしっかり筋肉が発達している。
それに長時間の固定ポーズも平気だった。
授業で学生同士モデルをやりあうのだが、みんな長時間の固定ポーズをなかなかとれないのだ。
それに服を着ていても大勢の人間にじっと見つめられるのは結構恥ずかしいものである。
その点、私は見つめられることに抵抗がなかった。
私は大勢の人に見つめられることが気持ちよかったのである。
クラスメイトの有月千佳に「プロのモデルになったら」といわれたことがあるが、さすがにそこまで自分の顔にもプロポーションにも自信がなかった。
それでも、授業でモデルが必要なときは積極的に買って出た。
(もちろん無償であるが、西田教授がランチくらいはおごってくれた)
学内ではさすがに全裸はなかったが、私は布地小さめのビキニでモデルをしたことも何度かあった。
それに千佳とはデッサンの勉強のため、お互いのアパートで全裸モデルを交代でやっていた。

「うん、君は小さいころから機械体操を習っていたから、筋肉も発達しているし、長時間の固定ポーズにも耐えられるだろう?そこの教室のやり方は少し変わっていて、最初は描かせずにモデルを15分くらいじっくり観察させるそうだ。その間全く動かないでいられるモデルが必要との言われてね・・・」
「なるほど、それならプロのモデルさんでないと厳しいですね・・・」
「頼むよ。そのかわり2時間で¥20,000くれると言っている」
こんな美味しい話を逃がす手はない。美大生はいつだって金欠なのだ。
「わかりました。どちらに行けばいいのでしょうか?」
「電話したら迎えにきてくれるそうだ。車で10分ぐらいのところだよ」
教授はすぐに電話をかけてくれて、迎えの車が来た。

「いやー、助かったよ。モデルさんがインフルエンザになってしまってね。あ、申し遅れました。
絵画教室を開いている渡瀬恒夫といいます。あの西田教授とは同級生だったんですよ」
「OBの方でしたか。羽村希です」
「羽村さんね。ええと、ヌードモデルになるんだけれど、いいのかな?」
「はい。オールヌードは初めてですけれど、前貼りはさせてもらえるんですね」
「当然だよ」
デッサン用のヌードモデルといっても全裸ではない。
オールヌードになる場合、モデルは性器を肌色のテープで隠すよう指導されている。
"芸術か猥褻か"でよく問題になるので予防措置といったところだろう。
ただし敏感な部分に粘着テープを貼るとかぶれる可能性があるため、それを嫌うモデルさんもいるのだ。
「ヘアはどうするのかな?」
「あ、私薄いので剃ってもかまいません。そのほうが綺麗ですよね」
「う、うん。そうだな、そうしてくれるか?」
「じゃあ、安全剃刀とシェービングフォームを買うんでコンビニによってもらえますか?」
「わかった」
途中でコンビニに寄ってもらえたので、私は安全剃刀とシェービングフォームを購入した。

コンビニから5分ほどで絵画教室に着いた。
自宅を改装して絵画教室を開いているようで、1階が教室、2、3階が居住用だった。
入り口に生徒さんの絵が飾ってある。皆かなりうまい。
「ずいぶんレベルが高いんですね」
「現在、生徒さんは23人だよ。常時来るのは17、8人かな?男女比は6:4くらい。男性は中高年が中心。元デザイン会社で働いていたとか、美大を卒業されたとか、絵画暦20年以上とかのベテランさんが7割位いらっしゃいます。女性は若い方が多くて羽村さんと同じ美大生とか、専門学校生、デザイン事務所勤務の方が多いですね」
「そうなんですか、すごいですね」
「もともと親しい数人だけで内輪だけでやっていたのだけど、メンバーの娘さんが教えてほしい、って言ってきてね。その娘さんがさらに知り合いを連れてきて、そこから口コミで広がっていったんですよ。今では美術芸術関係者のサロンのようになっています。みなさん、横のつながりが出来るといって喜んでくれていますよ」
教室の横を通り、突き当りを右に曲がって一番奥にある個室に通された。
4畳半ほどの広さでドレッサーと洗面台、脱衣カゴが置いてあった。
モデルの待機室だった。
「あと30分ほどで教室が始まりますからそれまでに準備をお願いします。タオルやバスローブはちゃんと洗ってありますから、使ってください。トイレは廊下の反対側の突き当たりです」
「わかりました」
私はまずトイレにいった。
モデルをしている最中にもよおしてしまってはシャレにならない。
部屋に戻るとすぐに全裸になった。
洗面台にお湯をため、安全剃刀とシェービングフォームを取り出す。
ドレッサーの上に置いてあった卓上鏡を床に置き、それを見ながら私はヘアの剃毛を行った。
10分ほどで赤ちゃんのような姿になると、お湯に濡らしたタオルで綺麗にぬぐった。
ついでに脇の下もチェックして処理しておく。
剃り残しがないことを確認してからバスローブをはおり、椅子に掛けて時間まで待った。
ドレッサーの引き出しに肌色のテープが準備されていたけれど、よく考えて使うのを止めた。
どうせなら私の全てをさらけ出したいと思ったのだ。
それにAVではないのだから、まさかM字開脚のポーズなど要求されないだろう。

ドアがノックされた。
「そろそろいいだろうか?」
「はい」
バスローブにスリッパだけはいて部屋をでる。
「テープの置き場所はわかった?」
「はい。でも使っていません。なんだかかぶれそうだったので・・・」
「そうか。まあ、生徒さんはみんな真剣に絵を描いている人たちだから安心して。おかしなポーズはとらせないし。今日はいわゆるモデル立ちポーズなんだけどわかるかな?」
「ええ、脚をすこし開いて腰に両手をあてて、片方の肩を下げるポーズですね。大丈夫ですよ」
「その、テープ無しだと見えてしまうんだが、いいのかな?」
「恥ずかしくない、といえば嘘になりますけど大丈夫です。高校生まで器械体操をしていたんですけど、段違い平行棒なんか大股開きするじゃないですか。大会なんかで正面の観客席は殆ど男性で埋まるんですよ。いくらレオタードを着ているから、といっても何をかんがえているのか見え見えですよね。それに比べたらどうって事ないですよ」
「そんなものなのか。まあ、僕達もモデルさんが恥ずかしがらないほうが描きやすいしね。じゃあよろしくお願いします」

渡瀬さんと私が教室に入ると、生徒さんたちがお立ち台を半包囲状に椅子に座っていた。
イーゼルは用意されているが各々の脇に置かれており、生徒さんたちの視界をさえぎるものは何もなかった。
私は渡瀬さんの斜め後ろに立つ。
「今日は急遽モデルさんが変更になりました。羽村希さんです。ポーズはモデル立ちポーズです。いつものように最初の15分は対象をじっくり観察していただいて、頭の中にイメージをしっかり作ってください。それでは羽村さん、お願いします。
私はバスローブを脱いで渡瀬さんに手渡すと、お立ち台の上に乗りモデル立ちポーズをとった。
脚を開くため、正面の生徒さんに無毛の性器が見えているはずだ。
その位置には老齢の男性と妙齢の女性がいたが、彼らはまったく表情を変えることなく真剣に私を見つめている。
私はその女性をどこかで見た覚えがあったが思い出せなかった。
ひそひそ話はおろか、咳払い1つ無しに時間が過ぎてゆく。
私の全身に突き刺さる視線が痛い。
特に正面の女性の視線には、なんというか不思議な力を感じた。
最初に視線があったとき、彼女は微笑んだ。とても安らぐ笑顔だった。
しかし、その目はまるで獲物を狙う鷹のように思えた。
彼女が私のカラダの何処を見ているのか、なんとなく判ってしまうのだ。
まるで柔肌をチリチリと焼かれているようだった。
(ああっ、乳首を見られている・・・ダ、ダメッ、乳首勃ちゃう・・・)
(やあっ、アソコ、アソコを見られている。クリが膨らんじゃう)
子宮がドクドク脈打っているかのようだ。
下腹部に何か熱いものがどんどん溜まってゆき、今にも溢れそうになる。
オシッコを我慢するときのように、太腿をあわせてモジモジしたいのを必死でこらえた。
(私、おかしい・・・。見られているだけなのにこんなに感じているなんて・・・)
(こんなところで感じちゃダメッ!)
しかしそう思えば思うほど、かえってそこに意識を集中してしまう。
肉襞が膨らんで、徐々に綻んできているのがはっきりわかる。
(まだ、まだ終わらないの?私、もう・・・)
もう何時間もこうして立ち続けているような気がする。
なんだか頭がぼおっとしてきた。
このまま倒れてしまうのだろうか?思考がまとまらない。
そしてとうとうその時が来てしまった。
つぅーと花弁から溢れた蜜が滴るのを感じた瞬間に頭が真っ白になってしまった。
(あああっ!)
自分で叫んだのかも定かでなかった。
崩れ落ちるカラダを誰かが支えてくれたのを感じながら、私は気を失った。

気がつくとバスローブを着せられ、ベッドに寝かされていた。
私の枕元に、教室で正面に座っていた女性がいた。その後ろに渡瀬さんもが立っていた。
「大丈夫?」
「羽村さん、大丈夫かい?」
「あ、あの、私・・・」
「たぶん極度の緊張による貧血よ。聞いたわ、ヌードモデル初めてだったのね。それなのにあんなに大勢の人に真剣にジロジロ見られちゃ緊張しちゃうわよね。だめじゃない、初心者にあんなハードなことさせちゃ」
「申し訳ない・・・」
「謝るなら私じゃなくて、羽村さんにでしょう?あ、私、川上雫(しずく)っていうの」
「羽村さん、本当に申し訳ない。今日は普通のやり方でするべきだった・・・」
「本当にそうよ。あれはプロでも結構厳しいのよ」
私は不調を装い、寝返りをうって二人に背を向けた。
違う、貧血なんかじゃない。私はイッたんだ。
カラダへの刺激一切なしに、見られただけでイッちゃったんだ。
私が倒れたとき、渡瀬さんは離れたところにいたから気づいていない。
でも目の前にいた川上さんは確実に気がついているはずだ。
恥ずかし過ぎてあわせる顔がなかった。
「さあ、羽村さんは私が面倒を見ておくから、教室に戻って」
「ああ、すまない。頼むよ」
川上さんがベッド脇に戻ってきた。
「羽村さん、しばらく休んでいなさい。喉、渇いていない?今お水を持ってきてあげるわ」
川上さんがお水を持ってくる間に私は部屋の中を見回した。
どうやら渡瀬さんのプライベートルームのようだ。
ベッドの上で起き上がり、真っ先に股間を確認した。
そこは綺麗にぬぐわれていた。川上さんが清めてくれたのだろう。
ますます顔が合わせられなくなった。
と、そこへ川上さんが戻ってきた。私の荷物も持ってきてくれたようだ。
「あら、起きたのね。はい、お水。それからあなたの着替えとカバン、ここに置いておくわね」
差し出されたコップを受取り、口をつける。
やはり喉が渇いていたので、あっと言う間に飲み干してしまった。
その時その水にほんのりレモンの味がしたことに気がついた。
「ありがとうございました。レモンは川上さんが?」
「ええ、私いつもレモン果汁を持ち歩いているのよ。口の中すっきりしたでしょう?」
「はい。ご迷惑をかけて申し訳ありませんでした」
「ううん、たいしたことはしていないから・・・」
あのことを聞くのは勇気がいったが、やはりこれだけはどうしても確認しておきたかった。
「あ、あの、それでですね・・・」
「言わなくてもいいわ。大丈夫よ。私の隣にいた石坂さんにもばれていないわ」
私は真っ赤になって俯いた。
「でも感受性が強いのね。見られただけでイッちゃうなんて。もしかして私のせいかしら?」
「そ、そんな、川上さんのせいじゃありません。私自身、なんでこんな事になったのか判らないんです。いままで大学で、水着姿でデッサンモデルをしたことはありましたし・・・」
「でも、今日は雰囲気が全然違ったでしょう?普通は鉛筆を走らせる音とか、椅子のきしみ、消しゴムをかける音とかが無意識のうちに緊張をほぐしてくれるんだけど、そうした雑音もなく、じっと観察されると緊張の度合いは半端じゃないわ」
「随分とお詳しいんですね」
「若いころはモデルもやっていたし・・・。今はイベント企画会社の社長をやっているわ」
「ああっ!じゃあ、川上さんってドロップクリエイティブの川上さんですか?」
「あら、今頃気がついたの?この業界じゃ結構有名だと思っていたんだけどな・・・」
ドロップクリエイティブは5年ほど前に設立されたイベント企画会社で、お見合いパーティーやグルメフェスティバル、音楽イベントなどを斬新なアイデアで企画して成功させ、業界では今最も注目を集めている会社だった。
当然、美大生にも有望な就職先として人気が高い。
「す、すみません」
「ふふっ、いいのよ。それより私、あなたのこと気に入ったわ。どう?うちでバイトしてみない?」
「ほ、本当ですか?」
「ふふっ、元気が出たみたいね?本当よ。ちょうどあなたみたいな娘を探していたの」
将来の就職先につながる大きなコネが目の前にぶら下がっている。
イッた事を知られてしまった決まり悪さも恥ずかしさも全て吹き飛んだ。
「ぜひ、お願いします!」
私は思わず川上さんの手を握り締めてしまった。
「ええ、こちらこそよろしくね」
ちょうどその時、渡瀬さんが部屋に入ってきた。
「よかった。元気になったようだね」
「ご心配をおかけしました。もう大丈夫です。それでモデル続きのほうは?」
「うん、今日は解散したから。また後日改めてちゃんと羽村さんにお願いするから。いいかな?」
「はい。今度はしっかり務めさせていただきます」
「これ、バイト料」
「そんな、頂けません」
「いいから、取っておいて。そのかわり次はしっかり頼むよ」
「すみません。頂戴します」
「それでこれからどうするの?お茶でも飲んでいく?」
「実は羽村さんにうちのバイトを頼んだの。それで打合せのためにこれから私の事務所に来て欲しいんだけど・・・」
「ああ。それなら引き止めるのは悪いな」
「すみません」
「それじゃ、また連絡するからよろしくお願いします」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
「さあさあ、彼女着替えるんだから出て行ってくれる?」
「・・・僕の部屋なんだけどなあ」
渡瀬さんはちょっと不満そうにつぶやきながら出て行った。

着替えをすまし、渡瀬さんに挨拶をして絵画教室をでる。
川上さんが事前に連絡していたらしく、教室の前にはハイヤーが止まっていた。
教室から20分ほどでドロップクリエイティブのオフィスに到着した。
「思っていたより小さいんですね」
とても年商3億以上の会社のオフィスとは思えない。
「社員はみんな自宅で、パソコンで仕事しているからね。もともと私一人で始めた会社だし。ここは私の執務室と会議室、応接室、倉庫があるだけなのよ。必要に応じてスタッフを招集するの。ほとんどが契約社員とバイトよ」
私は応接室に通された。
「そこらにおいてある雑誌でも見て待っていてね。お茶を入れてくるわ」
川上さんが出てゆくと私は本棚においてあった雑誌を手にとってみた。
ところどころに付箋が貼ってあり、いくつか開いてみると予想通りドロップクリエイティブの企画したイベントの記事だった。
ある雑誌に川上社長へのインタビュー記事があったので読んでいると、お盆を手に彼女が戻ってきた。
「お待ちどうさま。あら、その記事を読んでいるの?随分美化して書いてくれているからちょっと照れるわ」
「いえ、川上社長も最初は結構苦労されたんですね」
「まあね。いろいろあったけれど今では良い思い出だわ。ねえ、川上社長って呼ばないでくれる?なんかオバサンになったみたいでイヤなのよ。社名にもしている"雫(しずく)"ってよんでくれる?」
「も、申し訳ありません。雫さん?でよろしいですか?」
「ええ、社員もみんなそう呼ぶから。それより、お茶がさめてしまうから飲んでね」
「はい、頂きます」
とにかく話題を変えたかった私は慌ててカップに口をつけた。
「おいしい!バラの香りがすごく素敵です」
「私が特別にブレンドした紅茶なの。ローズヒップをベースに色々とね。気に入ってもらえて嬉しいわ。」
「このポッキーはもしかして?」
「そうよ。朝早くから何時間も並ばないと買えないやつ。イベントのスポンサーから貰ったの」
「おいしいー!人気になるだけのことはありますね。あのー、それでバイトの件なんですが」
雫さんに話しかけたとき、少しめまいがした。
目を閉じてこめかみに手をあてる。なぜか眠たくてしょうがない。
「羽村さん、大丈夫?」
「は、はい、大丈夫です・・・」
そう答えながらも私の意識は遠のいていった。

背中の痛みと息苦しさで目が覚めた。
自分では目をあけたつもりだったが何も見えなかった。
(えっ!ど、どうして?)
声をあげたつもりだったが、声はでなかった。
(イ、イヤー!)
パニックになり手足をめちゃくちゃに動かすが、多少カラダをよじることが出来る程度で、がっちり拘束されていしまっている。
ひとしきり暴れた後、ちょっと冷静になってきたので、自分の状況を確認してみる。
自分が全裸でいるのは間違いない。
目隠しは一般に目にするアイマスクのようなものではなく、固い革製の本格的なもののようだ。
頭の後ろまでベルトがまわされ、しっかり締めつけられている。
背中にはウレタンマットのようなものに押し付けられている。
そしてカラダは脚を広げて頭の上まで持ち上げられており、いわゆるマングリ返しのポーズをとらされていた。
両手は肘を直角に頭のほうに曲げられていて、ちょうど大昔のロボットアニメの決めポーズの状態で、手首をバンドのようなもので床にがっちり固定されていた。
両脚を固定しているのは金属のパイプのようだった。
口を開け閉めしてみるが、ボール状のものを噛まされているらしい。
当然声もうめき程度しか出せない。
性器もお尻も丸見えにされた状態なのに、周りの様子が全くわからない。
なぜ、こんなことになったのだろう?
どうしてこんな仕打ちを受けなければならないのだろう?
たしか、雫さんのオフィスでお茶を飲んで、それから・・・。
はっ、と思い当たった。
お茶に睡眠薬が入っていた?
では、これは雫さんがしたことなのだろうか?
ここはあのオフィスの1室なのだろうか?
誰かすぐそばにいるのだろうか?
ふいに、自分の近くで何かが動く気配がした。
もちろん何も見えないが、かすかな音と空気が動くのがわかった。
視覚を封じられて、他の感覚が敏感になっているのだ。
私の股間のあたりに誰かいる。人の呼吸音と気配を感じる。
誰かが私の恥ずかしいところをじっと見つめている。
今の状況で考えられるのは雫さんしかいない。
絵画教室で雫さんに見つめられた時と同じ様に、チリチリと柔肌を焼かれるあの感覚がよみがえってくる。
こんな異常な状況なのに、私の意志に関係なく花弁がヒクヒクと震え、蜜を溜めてゆく。
無理やり全裸でまんぐり返しに拘束され、性器はおろか最も見られたくないお尻の穴までさらけだしている私。
こんなひどい事をされているのに、私は恥ずかしいところを見られて感じている。
どんどん気持ちが高まってくる。
さっきと同じように、何もされていないのにイッてしまうのだろうか?
しかし、あともう少しでイク、というところから気分が高まらない。
後ほんの少しの刺激でイケる。それはわかっている。
なぜ?さっきとはどこが違うの?何が足りないの?
誰かに恥ずかしい姿を見られているのは間違いない。
今、私を見ているのは雫さん一人?
ドクン!
教室では渡瀬さん、雫さんをはじめ、殆ど初対面だった。
ドクン!
学校の同級生や千佳とは違う見知らぬ人達・・・。
ドクン!
そして見られたのは明るい教室。プライベートではない公の場所・・・。
ドクン!
つまり私は"見知らぬ大勢の人達に公の場所で恥ずかしい姿を見られて"興奮してイッたのだ。
ドクン!
これは私が"変態"ということなのだろうか?"露出狂"そんな言葉が頭をよぎった。
溢れた蜜は下腹部をお尻の穴を濡らしている。
少しでも刺激を得ようと私はカラダを左右によじった。
フッ、とアソコに息を吹きかけられた。
(ふわっ!ダ、ダメッ!足りない、そんな刺激じゃ足りないよう!)
もう私はイクことしか考えられなくなっていた。
さらにカラダをよじる。
再びアソコに息を吹きかけられた。
(お願い!イジワルしないで!イカせて!)
カラダをよじり、首を振って懇願する。
「イカせて欲しい?」
突然耳元で声がした。
雫さんの声だった。
私は首を何度も縦に振る。
指がアソコに当てられる。
何度か肉襞の合わせ目をなぞったあと、ズッと指を挿入された。
(ヒイッ!イクッ!)
私は瞬間的に絶頂に達した。
指はそのまま膣内を蹂躙し、私は連続で何度も絶頂に追い上げられる。
(あ、ああああああっ・・・)
括約筋がゆるみ、私はお漏らしをしてしまった。
止めようとしても止まらない。
挿入された指をオシッコが濡らしてゆく。
出し終わったところで指が抜かれ、私は気を失った。

股間に当てられた暖かいタオルで気がついた。
頭をもぞもぞ動かしていると雫さんが声をかけてきた。
「叫んだりしなければ、目隠しとボールギャグをはずしてあげるわ。」
首を何度も縦に振ると目隠しとボールギャグがはずされ、ようやく一息つけた。
「雫さん、なぜこんなことをするんですか?」
泣き叫びたいのを必死でこらえてなんとか冷静に話す。
「これがアルバイトなのよ。あなたはこれからこのままの恥ずかしい姿でエロティックオブジェとして美術館に一晩展示されるのよ」
オブジェ?展示?意味がわからない。
「展示・・・ですか?」
「そうよ。最近、博物館や美術館で夜中に少人数で見学するツアーがあるのは知っているわね。昼間とは全く違った雰囲気で肝試し的な要素も加わって、大人気になっているの。各地の博物館、美術館がこぞって導入し始めて競争も苛烈になってきているわ。そこでプラスアルファの要素として夜中にしか見られない展示をしよう、ということになったのよ。夜中といえば大人の時間よね。そこで希ちゃんみたいな女の子を恥ずかしい姿で拘束して展示することにしたのよ。大勢の人に希ちゃんの恥ずかしい姿が見られちゃうのよ。嬉しいでしょう?」
「そんな、嬉しいだなんて・・・。こんな内容だなんて聞いていません!」
「あら、私は希ちゃんにアルバイトを頼んで、あなたは承諾したはずよ。承諾前にバイト内容を確認しなかったのは希ちゃんのミスね」
「そ、それは・・・。でもこんなことなら・・・」
「断っていたかしら?本当は恥ずかしい姿を見られたいんじゃないの?」
「そんなことないです!」
「あら、ヌードモデルをやっていてイッちゃったのは誰かしら?それにさっきもずいぶん気持ちよさそうだったわね?あなたからイカせてくださいってお願いしたのよ」
「そ、それは・・・」
「認めちゃえば楽になれるし、もっと気持ちよくしてあげられるわよ」
「・・・」
「ふふっ、さっき綺麗にしたばっかりなのに濡れてきたわよ」
「イ、イヤッ!言わないでください!」
「自分でもわかっているようね。なら、もっと興奮することを教えてあげるわ。見えないからわからないでしょうけれど、希ちゃんは今1.5m四方の台の上に拘束されているのよ。これからあなたはトラックの荷台に積まれて美術館までは運ばれるのよ。もちろん幌なんかついていないトラックだから、希ちゃんの姿は大勢の人に見られることになるわね。交通事故が起きないか心配だわ」
「そんな、ダメです。そんなことしたら警察に捕まっちゃいますよ!」
「えっ?あ、あはははははは!あなた、そっちを心配するの?捕まらなければやってみたい、って言っているように聞こえたけど?」
「ち、違います!」
「でもカラダは正直みたいよ?私の見立ては間違いなかったようね」
「・・・」
そう、トラックで人目にさらされながら運ばれる、と聞いたときすごくドキドキしてしまった。
それと同時にアソコがキュンとなって、エッチなお汁は溢れるのがわかってしまった。
「安心して。すっ裸の状態で高速道路なんか走ったら寒くて風をひいてしまうわ。あなたにはマジックミラーのカバーをかぶせてあげるから。外からは見えないけれど内側からは見えるのよ。運ぶときにはボールギャグはするけど目隠しはしないから、まわりの景色が楽しめるわよ」
「そんなのイヤです」
「あら、素通しのガラスケースのほうがいいの?それは美術館についてからね」
「あ、あの、意味が違います」
「いいのよ、希ちゃんの特殊な性癖は理解しているから。それを他人に知られてしまうのはやはり恥ずかしいものね。どのみちその格好じゃ希ちゃんは拒否することはできないわよ。トラックが来るまであと10分くらいだからもう少し待っていてね」
そういうと雫さんは部屋から出て行った。
改めて回りを見回してみる。ここは倉庫のようだった。
床は樹脂性のタイルが敷き詰められ、壁にはダンボール箱がいくつも積みあげられている。
横に大きなシャッターがあり、その脇にさっき話していたマジックミラーの四角いカバーが置いてあった。
雫さんの言ったとおり、今の私にはどうすることもできない。
まんぐり返しのこんな何もかもさらけ出した恥ずかしい姿で美術館に運ばれて展示される。
不特定多数の人にアソコもお尻の穴までも見られてしまう。
まともな女性ならとても耐えられない仕打ちだろう。
こんなことをするのはストリッパーかAV女優くらいだろう。
いや、私はそれ以下の物品、オブジェとして扱われるのだ。
「あ、あああ・・・、ハアハアハア・・・」
動悸が早くなり、息があらくなる。
アソコがヒクヒクと痙攣し、クリトリスと乳首が固くなる。
放置されているだけなのに、誰にも見られていないのに、気持ちがどんどん高まってくる。
「やっ、ダメッ、イ、イキそう・・・」
コポッとあそこから大量にあふれした液が下腹部をぬらしてゆく。
「ハアハアハア・・・」
そのとき、大きな金属音がしてシャッターが開いていった。
そこから雫ざんが入ってきて、それに続いてクレーン付のトラックがバックしてくる。
雫さんが私のそばへ来た。
「あらあら、盛大にお漏らししたみたいね。自分で勝手に盛り上がっちゃったのかしら?あなたを展示するのが楽しみね。でも今からそんなんじゃ一晩持たないわよ」
雫さんは私のアソコに手を伸ばし、クチュクチュッと弄った。
「ひいっ!いいっ!イ、イクッ!」
ビクンビクンとカラダを震わせて絶頂に達した。
トラックから降りてきた運転手が、信じられないものを見た、という顔をしているのが見えた。
「そこのカバーをかぶせてから、トラックに積み込んでちょうだい」
「なんか凄い女の子をスカウトしたみたいだね。AV?」
「いいえ、ど素人さん。美大生よ。期待できそうでしょう?」
「そうだね」
朦朧とする意識のなか、そんな会話が聞こえてきた。
再び股間を清められてからボールギャグをされて、カバーがかぶせられると、灰色のカバーを通して周りがうっすらと透けていた。
運転手が私の周りで何か作業をしていたが、やがてトラックのほうに戻っていった。
それから機械音がして、台ごとゆっくり吊られるのが感じられた。
ゆらゆら揺れてちょっと怖いけれど我慢するしかない。
やがてトラックの荷台に降ろされたのか台が安定した。
ケースの上にロープが渡されて台がケースごとに荷台に固定された。
荷台に人が上がってきた。雫さんのようだ。
ケースがコンコンと叩かれた。
「希ちゃん、1時間半ほどだから我慢してね。なるべく揺らさないようにゆっくり走るから。景色をたっぷり楽しんでね」
雫さんが下におりてしばらくするとトラックがゆっくりと動き出した。
荷台が外に出たとたん、グレーのガラスを通してみていた景色が一変した。
マジックミラーとは聞いていたけれど、内側からは完全に素通しと同じだった。
(イヤー!)
思わず悲鳴をあげてしまったが、ボールギャグのせいで低く"うー"としか自分には聞こえない。
本当に外からは見えていないのだろうか?
トラックは外に出たところで一旦止まった。
シャッターの閉まる音がして、雫さんがトラックのほうに歩いてくる。
私のほうを見たあと、前にいってトラックに乗り込んだ。
雫さんが私のほうを見たとき、お互いの目があったわけではなかったので、私の姿がはっきり見えているわけではないのだろう。
再びトラックが走り出し、街中へと向かった。
私はトラックの進行方向に頭を向けているので、下を向くと後ろからついてくる車が見える。
もし箱が素通しなら、後ろの車からは私の性器もお尻の穴も丸見えになっているはずだ。
信号で止まるたびに、道行く人や後ろのドライバーがトラックを見つめている。
トラックの荷台に積まれた奇妙な鏡の箱はいやでも注目を集めているようだ。
まさかこの中に全裸の女性がまんぐり返しで拘束されているとは思わないだろう。
でも、もし誰か気がついたら・・・。
気がつくと大型トラックが真後ろについていた。
運転席が高いため、ドライバーの視線が私を見下ろす位置にある。
やはり箱が気になるのか、ドライバーは私のほうをずっと見つめている。
わかってしまったのだろうか?
いや、私の姿は見えていないはずだ。
私はドライバーの表情を観察した。
もし見えていたら、驚くかニヤニヤするかのどちらかだろう。
しかしドライバーはとくに表情を変えることなく追従してくる。
そのまま連なって高速のインターに入る。
ETCを通過し本線に乗ると、後ろについていたトラックは追い越し車線に入りスピードを上げて抜きさっていった。
トラックは予告通りゆっくりと走行車線を走っている。
後ろに何台もの車がつき、しばらく走行したあとに追い越してゆくが誰も私に気がつかない。
興味をひく鏡の箱を見ているのは間違いない。
追い越しざまも、ほとんどのドライバーが横を向いて箱を確認してゆく。
(ねえ、なんで誰も気がついてくれないの?)
万が一気づかれたら大変なことになるかもしれないのに、私は恥ずかしい姿を見られたがって悶々としていた。
結局、誰にも気づかれないまま、トラックは高速を降り、再び街中に戻った。
どうやら海沿いの町らしく、トラックの荷台からは海が見える。
山道に入ったようで、曲がりくねった坂道をゆっくり登ってゆく。
到着したのは、海を望む高台に建てられたNOVA美術館だった。
勉強のために何度か来たことがある。
私はここに展示されるのだろう。でも、私だけ?
確かに有名で高額な美術品は1室に1点のみ展示されることもあるが、私のまんぐり返しにそこまでの価値があるとも思えない。
すると私以外にも展示される女性がいるのだろうか?
トラックは正門には入らず、別にある業者専用口に回った。
ゲートを抜けて美術館バックヤードの搬入シャッターが開けられ、トラックごと館内に入る。
館内に入ると周囲が暗くなったため、マジックミラーは再び灰色になった。
再びクレーンを使ってトラックより降ろされる。
トラックはすぐに出てゆき、シャッターが閉められた。
しばらくしてカバーがはずされた。
猿轡もはずされる。
「希ちゃん、大丈夫だった?」
「は、はい、なんとか・・・」
「あんまり楽しめなかったようね」
「えっ?」
「全然濡れていないから・・・。みんなに見てもらえなくて欲求不満になっちゃった?」
「そ、そんな・・・」
「図星みたいね。これならいきなりアレをしても大丈夫かしら?」
「な、なんですか?アレって?」
「ふふっ、ケースなしで、おさわり自由の展示よ。さすがにその場で犯されることはないと思うけれど、オマンコに指を入れられたり、バイブで弄ばれるくらいはするわよ。楽しみでしょう?」
そう言いながら雫さんは私のアソコを指で弄った。
「え、ええっ!アッ、イ、イヤッ!」
「あら、濡れてきたわよ。あなたやっぱり素質があるわね」
「ああっ、うん、い、いやん、はああ・・・」
雫さんはしばらく指でクチュクチュしていたが、ふいにアソコにキスをしてきた。
「ひやっ!ああっ!イ、イクッ!」
敏感な豆をねぶられて私は思わず達してしまった。
「うふふ、ナイトツアーが始まるまでまだたっぷり時間があるわ。拘束を外してあげましょう。希ちゃんと楽しみたいの」
雫さんは工具と首輪、リードを持ってきた。
まず、私に首輪を巻き南京錠で留める。それからリードを繋いだ。
そのリードを私を拘束しているパイプに引っ掛けると、工具を使ってパイプを組み立てている金具を外し始めた。

外来職員の宿泊室に連れ込まれた私は、雫さんに徹底的に弄ばれた。
何度も絶頂に追い込まれ、寸止めされたあげく、雫さんのレズ奴隷になること、今後も絵画教室のヌードモデルを続けること、そして美術館で展示されるエロティックオブジェにもなることを誓わされた。
一番恥ずかしい思いをしたのはチンチンに格好で金属製ボールにオシッコするように命じられたときだった。
水を何杯も飲まされて、膀胱がぱんぱんでオシッコしたいはずなのになかなか出なかった。
雫さんに尿道を刺激してもらうと、それを待っていたかのようオシッコが出始めた。
トトトトト・・・、と金属のボールにオシッコが跳ね返る音があまりにも恥ずかしすぎる。
いつもより大量のオシッコを出し終わるまでの時間は永遠とも思えた。
出し終わった瞬間に私は絶頂して雫さんの腕のなかに崩れ落ちた。

「さあ、希ちゃん、そろそろ時間よ」
イキすぎて意識が朦朧としている私を雫さんが強引に起こした。
目をあけると、雫さんはいつのまにか身だしなみを整えてスーツを着ている。
「ふふっ、肌がしっとりとしていてとてもエロティックよ」
状況がよくわからないまま、スリッパだけ履かされて全裸のまま廊下を移動する。
まるで迷路のような職員用通路を通り、ドアから出た先は特別展示室だった。
広い空間に7個の台が置いてある。
その台の上には十字架や分娩台のような椅子、木馬、ギロチン台や檻などが置かれていた。
そして私が拘束されて運ばれてきたまんぐり返しに拘束する台も置かれていた。
「ほら、あれが希ちゃんの置かれる台よ。ほかにも6人、それぞれのポーズで拘束されて鑑賞されるのよ」
そのとき私は自分が拘束される台のうしろに透明の四角いケースが置いてあることに気がついた。
「ケース無しなんじゃなかったんですか?」
「まあ、希ちゃんは初めてだからケースに入れてあげるわ。でもそのほうが酷かもね。視姦(み)られるだけで触ってもらえなかったら欲求不満になっちゃうかもしれないわね」
雫さんによって私は再びまんぐり返しの台に拘束された。
トラックで運ばれたときと違い台が30度ほど前に傾けられており、正面を見ることができる。
「口を開けて」
私が口を開けると、雫さんはポケットから小さなスプレーを取り出し、私の口の中、両乳首、アソコに吹きかけた。
スプレーのかかったところがじんわりと熱くなってくる。
「何をしたんですか?」
「まあ、媚薬みたいなものよ。副作用はないから安心して」
「・・・はい」
それから雫さんは仮面舞踏会で使うような目の部分だけ隠すマスクを取り出すと私にかけた。
「さすがに素顔はさらしたくないでしょう?こんなものでも意外と素性はわからなくなるものよ。これで希ちゃんの準備ができたわ。エロティックオブジェの完成よ。お客様は1組、6名よ。まあ3時間くらいね。たっぷり楽しんでちょうだい」
そう言うと雫さんは離れていった。
そのあと4人の作業者がきてケースを私に被せた。
それからモデルが6人入ってきてそれぞれ台に拘束されてゆく。
みんなプロポーションが良く私もそれなりに自信はあったけれど、ちょっと負けている。
作業が終わったが、ケースを被せられているのは私だけだった。
ということは、他のモデルはカラダを弄ばれる、ということなのだろう。
他のモデル達は今どんな気持ちで待っているのだろうか?
自分の全てをさらけ出してしまう不安と恐怖?
それとも視姦(み)られることに対する期待と快楽だろうか?
照明が暗くなり静かなBGMが流れ出す。
遠くから複数の足音が近づいてくる。
エロティックナイトミュージアムツアーの始まりだった。

雫さんがコンパニオンとして説明をおこなっている。
お客さんは6名。みんな私と同じような顔半分を隠すマスクをしている。
まず私の前で全員がとまる。
「本日は新作が入荷いたしましたので紹介いたします。製作者は19歳の美大生です。学校や絵画教室でも自らヌードモデルに志願する露出狂の変態で自らをモデルに作り上げました」
「ほう、これはまた見事な出来だな」
「まるで神が作った果実のようだ」
みんな口々に感嘆の声をあげる。
「作品名は"私の望み"です。自分の恥ずかしい姿を大勢の方に見ていただきたい、という強い願望から命名されました。この作品はお客様に見られることで変化してゆく過程を楽しむため、あえてお触り禁止とさせていただいております。まずはじっくり観察してください」
お客様の視線が私の股間に集中するのがわかる。
恥ずかしくて顔を覆いたいが、拘束されているので目を閉じることしかできない。
「だめよ。しっかりお客様の顔を見なさい!」
雫さんに叱責されてしかたなく目を開く。
私を見つめるお客様の真剣な表情。
(ああ、恥ずかしい。見られている。恥ずかしいところを何もかも見られているんだわ・・・)
「おおっ、花びらがほころんできたぞ」
「蜜も垂れてきているな」
「後ろもひくひくと物欲しそうにしているぞ」
私のカラダの変化を他人に指摘されて、恥ずかしさは頂点に達した。
下腹部に熱いものが流れる。
それがどんどんアソコに溜まってきている。そして限界がきた。
「い、いやっ!ダメッ!出ちゃう!」
アソコから熱いものがビュッと迸った。
しかし、オシッコのようにさらさらではなく、もっと粘度の高いものでその一吹きだけだった。
「「おおっ!」」
お客様がいっせいにどよめいた。
ケースがなければ正面にいたお客様には確実にかかっていただろう。
「たいしたもんだ。見られただけで潮を吹いたぞ」
「よっぽど恥ずかしい姿見られるのが好きなようだな」
「うむ。次回が楽しみだな」
「次は直に触らせてもらえるのか?」
「ふふっ、考えておきましょう。次回のお楽しみということで・・・」
「うむむ、そうだな」
「それではいつも通り、あちらの作品で存分にお楽しみください」
「よし、楽しむとするか・・・」
6名のお客様はそれぞれの作品に散っていった。
雫さんは私のそばに残った。
「気持ちよかった?しばらく休憩よ。悪いけどそのままの格好で待っていてね」
「は、はい」
「あなたが退屈しないように鏡を持ってきてあげるわ。しばらく自分の姿を眺めていなさい」
そう言って雫さんは高さ1m、幅30cm位の姿見を持ってきて私の正面においた。
そこにはまんぐり返しに拘束されて発情した淫らなオブジェが映っていた。
それから2時間あまり、ふつう博物館では絶対に聞かれない嬌声や悲鳴が館内に響いた。

お客様が帰り、6人のモデルが解放され、展示室の照明が全て消されたあと、カバーは外されたものの私は拘束されたままだった。
散々、お客様とモデル達の痴態を見せ付けられ、私はどうしようもないほど興奮していた。
今すぐ私を弄り回して欲しい、滅茶苦茶にして欲しい、死ぬほどイカせて欲しい、そんな淫らな欲望が胸の中で渦巻いていた。
暗闇のなか、懐中電灯を持った人影が近づいてきた。
足音から雫さんだとわかった。
「どうだった?希ちゃん。楽しめたかしら?」
「雫さん、ひどい。イジワルです。私が今どんな状態かわかっているくせに・・・」
「ふふっ、私の期待以上だったわ。もう美術学校をやめて私のところに来ない?絵画教室のヌードモデルと美術館のエロティックオブジェを専属でやって欲しいのよ。もちろん、仕事のないときも服を着る必要はないわ。ずっと裸でいられるのよ。どう?」
「・・・」
「承諾してくれるなら、好きなだけイカせてあげるわ。もしノーなら明日までずっとこのまんま。一般の来場者にも希ちゃんの恥ずかしい姿を見てもらうことになるわね」
「い、いやです・・・、そんな・・・」
「あら、エッチな涎がいっぱい溢れてきたわよ。カラダのほうが正直ね」
「そ、そんな・・・」
「ごめんなさい。期待させて悪かったけれどさすがに一般の人にお披露目はできないわ。そのかわり希ちゃんの願望はできるかぎり叶えるようにしてあげるわ」
「わかりました。よろしくお願いします」
「それじゃ、さっそく希ちゃんを死ぬほどイカせてあげるわね」
そういうと雫さんは私の前に跪いた。

*************************

一年後。
「希ちゃん、準備できた?」
雫さんがドアを開けて覗き込んできた。
「はい、大丈夫です。昨日の夜からなにも食べていないし、下剤とお浣腸で完全に綺麗にしてありますから」
「でも、いきなり入籍するって聞いたときは驚いたわ」
「えへへ。ご主人様は私の性癖のことを十分理解した上で、いろいろ相談にも乗ってくださり、私のことを真剣に考えてプロポーズしてくれたんです。そして私もこの人なら私の全てを預けられると思ったんです」
そう、私は今ナイトツアーの常連客だったお医者さまであるご主人様と戸籍上は妻、実際には露出奴隷として飼われているのだ。
式はまだ挙げていない。私の調教が完成したら、お披露目を兼ねて行う予定になっている。
そしてエロティックオブジェの仕事は今も続けている。
「それでお尻のほうは大丈夫なの?先日少し緩くなったみたいって心配していたけれど・・・」
「はい、ご主人様にちゃんとケアしてもらいました。締まりもいいそうです。でもやっぱり常時プラグを入れていないと不安ですね。ふとした拍子に漏らしちゃうんじゃないかって・・・。それに入れていないとなんだか物足りなくって・・・」
「希ちゃんもすっかりアナル好きの変態になっちゃったわね。でも直腸の奥まで見せてくれるモデルなんて殆どいないから希ちゃんは貴重な存在よ。いま何センチまでいけるの?」
「9cmに挑戦中です。8cmはかなり楽に入るようになりました。でも常時入れるのは6cmが限界だそうです。それ以上するとやっぱり括約筋が伸びすぎちゃうみたいで・・・」
「前のほうは?」
「こっちも9cmですね。筋肉弛緩剤をつかって一升瓶(直径10.4cm)を入れたころがありますけど・・・」
「まさにびっくり人間ショーね。ユルユルになったりしないの?」
「大丈夫ですよー。しっかり鍛錬してますから。ご主人様からも、拡張前より締まりが良くなったって褒められました。今日は前後とも直径6cmのアクリルパイプを入れて、直腸が結腸につながっているところと子宮口を見てもらう予定です」
「よろしくお願いするわね。希ちゃんの内臓公開ショーはこのツアーの目玉だから」
「実は今、子宮口の拡張にも挑戦しているんです。でも感染症が心配なので慎重やらなきゃいけないから時間がかかるんです」
「すごいわ。子宮の中まで見せてしまうなんて究極の露出ショーね。期待しているわよ」


終わり


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