露出小説ヒーローごっこ 作;ベンジー 第五話 カミングアウト 言われて気づいた。男の子は、朱音の女の子の部分を間近から見上げているのだ。急激に熱くなる頬を止めることはできなかった。 「わ、わかったわ」 そう答えるしかなかった。 「ボクも見たい」 「うん。見たい、見たい」 バックネットの基礎に上がっていた二人も、見たいところが見える位置まで降りて来た。三人の男の子が注視する部位が妖しく変化するようだ。 「おい、カナも来いよ。お前も知りたいだろ」 男の子に呼ばれて、カナも真下まで近づいて来た。 カナと目が合った。いやらしさのない無垢な目だ。そこには、男の子たちに見られるのとは違う恥じらいがあった。 それにしても、何を「教えろ」なのか。 見たければ勝手に見れば良い。それがどんなに恥ずかしくても、今の朱音は一糸纏わぬ姿で大股開きなのだ。隠すことも逃げることもできないのだから。 「ウンチするのは、ここからだよなぁ」 何かが肛門に触れた。全身の毛穴が立つような感覚。それは間違いなく男の子の指先なのだろう。輪ゴムが装填されたままの。 「やめて」 聞こえるかどうかの小さな声だった。予期していなかったせいもあるのだろう。おっぱいを揉まれるのとは比べ物にならない恥ずかしさだった。 「やめてじゃねぇだろ。ここからウンチするのかって聞いてるんだ」 (そんなことまで答えなければならないの) 朱音は、唯一動かせる顔を背け、 「お願い。勘弁して」言い終わった瞬間だった。「きゃああああああああぁぁぁぁ」 二度目の真剣な悲鳴。肛門に鮮烈な衝撃が齎された。男の子も容赦のない仕打ちに、全身から汗が噴き出すようだった。 「素直に答えないからいけないんだ。輪ゴムは、いくらでもあるからな」 「……」 「どうした? もう一発、欲しいのか」 朱音は返事をしなかったのではなく、できなかったのだ。悲鳴を上げたせいで息が整っていなかった。 「ゴ、ゴメンなさい。そうです。そこが肛門です」 女の子が他人前で口にするのは憚られたが、この場限りと割り切らなければ、次の衝撃が襲ってくるに違いない。 「コウモンってなんだ」 小学生に《肛門》では通じないようだ。 「ウンチをする穴です。お尻の穴って言った方が分かるかしら」 より恥ずかしいワードを使わなければならなかった。 「そっか。ボクもあるよ。コウモン」 「お姉ちゃんも、ここからウンチ出すんだね」 悪気の無い露骨な表現に、朱音の顔は冷める暇がなかった。「ここから」と表現した部分を、八つの目に見られているのだと思い知らされた。 「そうよ。人間には、みんなあるの」 「だったら、オシッコはどこから出すの?」 次の質問だが、その前に一人の男の子が割り込んだ。 「ねぇ、ちょっと暗くない?」 夕暮れが迫って来たせいか、朱音の股下は陰になっているらしい。見えづらいなら、それに越したことはないが、 「そうだな。ライトを点けるか」 下腹部に光が点った。男の子の誰かが、スマホのライトを点けたようだ。今時の小学生なら、持っていてもおかしくない。何にしても、これで朱音の陰部は、スポットライトに照らされてしまったわけだ。 「それでオシッコは?」 忘れてくれても良かったのにと思いながらも、朱音は返答に困る。口にするのも恥ずかしい単語が続くこともあるが、そもそも、何と表現したらわかって貰えるのだろうか。 男の子に指で触れて貰って、イエス・ノーで答えられれば良いのだが、そうして欲しいと口にすることはできなかった。 「オシッコよね。オシッコは……」 それでも朱音は、何か言わなければならないと焦った。今も男の子の指先には輪ゴムがセットされているのだろうから。 「早くしろよ。三発目を食らいたいのか」 案の定、これだ。食らいたいわけがあるものか、と反論する余裕もなかった。 「オシッコは肛門の、ううん、お尻の穴の手前に、縦に二つ穴があって、その内の小さい方の穴から出るの。わかるかな〜?」 これで伝わっただろうか。他に説明のしようもないのだが。 「えぇ、どこだろう。穴なんてあるか」 男の子たち三人の顔が股間に近づいて来た。尿道口を探しているのだろうが、肛門と違って穴と言う表現では見つけづらいかもしれない。 それにしても、好きでもない男三人に無防備な股間を覗き込まれるなんて。こんな女子高生、朱音の他にいるのだろうか。 「ダメっ。わからない」 「わからないよな」 「なんで女には、おちんちんないんだよ」 女にもおちんちんがあったら赤ちゃんが産まれないでしょ、とは言えない。言ってもわからないだろうが。 「そうね。普段は閉じているから難しいかも。オシッコする時だけ、穴になるのよ」 これで納得して欲しかったのだが、すぐに朱音の首を絞める結果となった。 「じゃあ、オシッコして見せて」 「ウソっ!」 死ぬほど後悔したが、遅かった。 「そうだ。それがいい。しなきゃ、これだぞ」 男の子が親指に輪ゴムを構えて見せた。 「止めて。そんなこと言ったって、すぐには」出ないと言うより先に「きゃああああああああぁぁぁぁ」 無慈悲な三発目が放たれ、皮肉なことに、輪ゴムが尿道口を直撃した。その刺激で朱音がオシッコを漏らしたのは、幸か不幸か。 (オシッコするところまで見られちゃうなんて、こんなの予定外だよ) 全身の力が抜け、放心状態の朱音を他所に、男の子たちの会話が進んでいた。 「こいつ、ホントに漏らしやがった」 「きったねぇ。ちょっと掛かったじゃねぇか」 「見えたか。オシッコの穴」 「ううん、全然、わからなかった」 「ま、いいや。動画に撮っておいたから、後でゆっくりと見ようぜ」 「〇〇〇君にも、見せてあげるんだぁ」 耳には入っていたのだが、理解が追い付くのは一足遅れだった。 動画にも撮られてしまったらしい。〇〇〇君にも見せるって、事態が最悪の方に向かなければ良いがと不安になった。 男の子たちの相談も終わり、一人が言い出した。 「もう一つ、穴があるって言ってたよね」 オシッコまでして見せたのに、それで終わりではないのかと愚痴りたい心境だった。 「赤ちゃんが産まれる穴よ」 小学生に理解できるだろうか。こればかりは産んで見せると言う訳にもいかない。朱音はまだ、その部位をオナニー以外で使ったことがなかった。 「おちんちんを入れる穴だろ。それくらい知ってら」 どこまで詳細に知っているのかわからないが、間違ってはいない。知ってるなら、この話はお終いと思ったのだが、 「おちんちんが入るの? それも入れる時だけ穴になるの?」 耳年増にもレベルの違いがあるようだ。 いや、それよりも、悪い方向に進んでないだろうか。もしかして、朱音は、男の子たちを子供と見過ぎていたのではないか。 「入れて見せてよ。入っているところ見たい」 当然、見たいだろうが、 (それって、セックスするってことだよねぇ) もし男の子にそれなりの知識があって、それを望み、本気で実行しようとしたら、朱音は拒むことができない。精通している年齢ではないが、勃起は経験していてもおかしくない。まさかとは思うが…… 「入れるの、ここだろ」 輪ゴムの装填された親指が、朱音の膣口をピンポイントで押さえた。 全身で反応してしまう朱音。この子は恐らく、ネットか何かで見ていたのだろう。それを朱音で確かめようとしていたようだ。 これは貞操の危機かもしれない。 「まさか、入れないよね」 朱音は、恐々と問うた。輪ゴムの直撃よりも、破瓜の恐怖が上回っていた。 「こんなところでおちんちん出すかよ。お前と違って変態じゃないからな」 それが正常なのだと言わんばかりだが、ちょっと待て。磔にされたのが屋内だったら、レイプされていたのだろうか。 取り敢えずの危機は回避できたようだが、後で教えてあげなければ。 変態なのは外でハダカになっている朱音だけではない。女子高生をハダカにしてイジメている君たちも、充分に変態なんだって。 「ついでだから教えてあげる。お股の手前の方に膨らんでいる皮があるでしょ。その中にあるのがクリトリスって言って、女の子が一番感じるところなの」 「感じるってなんだよ」 やはり無理だったか。そうは思いながらも悪ノリの朱音だった。 「気持ち良くなるってことかな。君たちが舐めてくれたら、お姉ちゃんも気持ち良くなれるかもしれないわ」 本当に舐められちゃったらどうしよう、と思う朱音だったが、この子たちが変態じゃないと思っているなら、大丈夫な筈だ。 「そんなとこ舐められるかよ。お前、オシッコしたばかりじゃないか」 男の子たちにとっては、そういう問題らしい。 「そうよね。また今度にするわ」 意図せず始まった性教育は、これで終了となった。 「記念写真、撮ろうぜ」 男の子の一人が言い出した。スマホを持って来ているのだ。ついさっき、朱音のオシッコシーンも動画に撮っていた。記念写真くらい言い出しても不思議ではない。 磔にされた朱音を真ん中にして、その両側の基礎部分に男の子が一人ずつが上がり、最後の一人が脚立の二段目でポーズを撮った。その光景をカナが写真に収めた。カナが一緒に写るパターンも撮った。 その後、男の子の一人が、朱音のアップを何枚も撮っていた。 (オカズになっちゃうのかな) それくらいは仕方がないだろう。男の子が精通していればの話だが。 「お姉ちゃんのスマホでも撮ってくれるかなぁ」 朱音自身、自分の今の姿を画像に残しておきたかった。男の子たちから、どのように見えていたのかも気になった。 「いいぜ。撮ってやるよ」 朱音のスマホはスポーツバッグの中だった。 「ねぇ、お姉ちゃんの……その、ア、アソコも、と、と、撮ってよね」 自分ではよく見たこともない部位だ。こういう機会でもなければ、画像に残すこともないだろう。ただ、それを男の子に頼むのは勇気が必要だった。 「アソコってどこだよ」 「だから、アソコはアソコよ。言わせないで」 「アソコじゃ、わからねぇって」 わざとではないのだろう。耳年増なようで、本当に通じていないようだ。だからと言って「オマンコ」のような言葉も使いたくない。それを口にしたところで、伝わるとも限らないのではないか。 「君が輪ゴムで撃ったところよ。これでいいかしら」 朱音は吐き捨てるように大きな声を出した。顔から火が出ると言うのは、こういう時に使う言葉に違いない。どれだけ真っ赤になっていることか。 「なるほどな。変態のアソコをしっかりと撮ってやるよ」 何を納得したのか不明だが、男の子は、朱音の股間へと潜っていった。 そうしている内に日が傾いて来た。結果的には予定通り、と言って良いだろう。全裸大の字磔にされることができて、朱音は満足していた。 「そろそろ帰らないと、お母さんに怒られる」 男の子の一人が言い出した。お腹も空いて来た頃だろう。男の子たちの意識は、それぞれの家に向かっているようだ。 今日の『ヒーローごっこ』は終わりにしなければならない。それはわかっていたが、いざ磔から解放されるとなると、朱音は、もう少しこのままでいたかった。 「またやろうね」 朱音から声を掛けた。 「しょうがねぇ。変態に付き合ってやるよ」 男の子たちも乗り気のようだ。少なくとも、カナがイジメられることはなくなるだろう。それをカナが残念に思っているかどうかは別にして。 朱音の脳裏に、ふと、「お兄ちゃん」の顔が浮かんだ。今日の朱音を知ったら、喜んでくれるだろうか。「よくやった」と褒めてくれるだろうか。「お兄ちゃん」だったら、もっと恥ずかしい目に遭わせてくれたのだろうか。 > 「一晩中、《ぜんらはりつけ》にしておいてやるからな」 朱音と「お兄ちゃん」の『ヒーローごっこ』は、まだ終わっていないらしい。南京錠の鍵を手に、足元に寄って来た男の子たちに、朱音は告げた。 「あなたたち、帰っていいわよ」 驚いて見上げる子供たち。 「お前は、そのままでいいのかよ?」 当然の反応だ。男の子たちがいなければ、朱音が磔から解放されることはない。 「いいのよ。お姉ちゃんは変態だから罰を受けるの。一晩中、このままでいなければならないの」 とうとう自分の口で変態だと認めてしまった。 (本当に帰してしまっていいの?) この子たちがどこまで理解しているかわからないが、全裸で磔にされた女子高生を置き去りにする理由は「変態だから」以外に思い付かなかった。 「うん、わかった」と男の子たち。 「お姉ちゃん、風邪ひかないでね」とカナちゃん。 これで朱音は、明日の朝まで磔のままだ。 脱いだ服は全部スポーツバッグに入れ、男の子の一人に持って帰って貰うことにした。何も着るモノの無い場所に放置されるのが良いのだと話すと、 「どこまで変態なんだよ」 男の子たちは三人揃って笑った。カナも笑った。 「その代わり、明日はできるだけ早く迎えに来てね。寝坊したらダメよ」 男の子たちが来てくれなければ、朱音は明日も全裸大の字磔にされたお姫様のままだ。 (本当に帰してしまっていいの?) 「心配するなって」その声に、ふと不吉なものを覚えた。男の子たちが続けた言葉は、 「明日は早朝野球があるんだ。村中の人がいっぱい集まるから」 息を詰まらせる朱音。背を向けて歩き出す子供たち。 そう言えば、野球の盛んな村だった。この時期は日の出も早く、早朝野球があると言う話も聞いていた。 南京錠の鍵は男の子たちが持っているのだ。明日の朝、真っ先に来て解錠してくれなければ、朱音はこの恥ずかしい姿で村中の人達を出迎えることになる。子供たちが来るまで、生まれたままの姿で大股開きを晒し続けるしかない。 (本当に帰してしまっていいの?) 村人の中には、近所のおじさん、おばさんもいるかもしれない。クラスメイトの男子もチームに入っていると聞いたことがある。 「ちょっと待って」 子供たちの背中に向かって、朱音は叫んだ。 このままでは、村中の人達に無防備なハダカを見られる。子供たちを使って、自分を全裸大の字磔にする変態だと知られてしまう。 「どうしたの、お姉ちゃん」 振り向いた子供たちが、バックネットに磔られた朱音を見上げた。 今なら、まだ間に合う。「やっぱり、お姉ちゃんも一緒に帰る」と言えば良いだけだ。 「ううん、なんでもない」 (おわり) (つづく)
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