読者投稿小説『取材のため刑務所生活を体験する女子アナ』 後編 作;ベル 第七章:志願の公開検診 どんよりとした鉛色の朝が訪れた。 独居房の冷たい床で目を覚ました舞風の全身には 昨夜の「洗礼」による生々しい痕跡が、熱を持ったまま残っていた。 「明日、自分から『特別検身』を願い出な。 さもないと、今夜はアナルを徹底的に暴いてやるよ」 サキの低い脅し文句が、呪文のように舞風の思考を縛り付けていた。 拒絶すれば、今夜はさらなる陵辱が待っている。 エリートアナウンサーとしての矜持と、未知の苦痛への恐怖。 天秤にかけるまでもなく、彼女の心は恐怖に屈していた。 午前中の作業が始まる直前 舞風は意を決して、高城刑務官の前へと歩み出た。 「・・・お願い、があります。・・・再度、『特別検身』を受けさせて下さい。 昨夜から体調がすぐれず、違和感がありまして・・・」 高城の冷徹な眼差しが、舞風の伏せられた顔に向けられた。 その背後ではサキたちが 獲物を追い詰めた獣のような下卑た笑みを浮かべていた。 「自分から願い出るとは殊勝だな。よかろう、二〇八番。 ・・・全員、作業を止めろ。これよりここで検身を行う」 「えっ?またここで、ですか?」 舞風の顔から血の気が引いた。だが、高城の言葉は絶対だ。 数十人の受刑者が円を描くように見守る作業場の中央。 そこが、今日の舞風の処刑台となった。 舞風は震える手で作業服を脱ぎ、一糸纏わぬ姿で作業台に両手をついた。 再び白日の下に曝け出された、二十代後半の完成された肉体。 羞恥で真っ赤に染まった背中を、同性たちの湿った視線が舐め回した。 ![]() 「腰を上げなさい。お前が感じている『違和感』の正体、私が確かめよう」 高城の手には、いつの間にか小さな、桃色の機械が握られていた。 無機質なプラスチックの塊が スイッチを入れた瞬間にジィィィ・・・と低く、鋭い振動音を上げ始めた。 「はっ?そ、それは!」 「検身用の振動器具だ。粘膜の反応を見て 虚偽の申告がないか確かめる。・・・動くなよ?」 高城の指が、柔らかな臀部を左右に割り振ると 容赦なくその震える先端を、蜜に濡れた舞風の密林の奥へと押し当てた。 「あぁっ。い、いやぁ!!」 雷に打たれたような衝撃が、舞風の脊髄を駆け抜けた。 指の愛撫とは全く違う、執拗で一定な高周波の振動。 それが、昨夜の洗礼で過敏になった舞風の最深部を 情け容赦なく掻き回した。 「・・・ぐっ、や・・・めて・・・あひっ!」 舞風は涙を流しながら、必死に声を殺そうとした。 しかし高城は冷酷に振動の出力を上げ、舞風の弱点を正確に抉り続けた。 ガラス越しではない、生身の人間たちが取り囲む空間。 「いい声だねぇ、さすがはアナウンサーだ」 「もっと気腰を上げて、しっかり見せておくれよ」 サキたちの嘲笑が、舞風の鼓膜を汚していく。 その屈辱的な状況が、皮肉にも彼女の官能を極限まで跳ね上げた。 「声をもっと出しなさい。フフフ、こんなに締め付けている。本当に正直な体だ」 「あ、あぁっ!・・・許して。・・・いくっ、いっちゃうっ!!」 ついに耐えきれなくなった舞風は、腰を激しく震わせた。 数十人の見守る前で、彼女の体は弓なりに反り 乳房を揺らしながら白い腿を激しく痙攣させた。 アナウンサーとしての知性も、プライドも、 全てがその圧倒的な絶頂の波に飲み込まれ 彼女の口からは、獣のような、しかし甘美な鳴き声が溢れ出した。 舞風は作業台に突っ伏し、果てた後も荒い息を吐きながら涙を零し続けた。 「・・・異常なし。二〇八番、作業に戻りなさい」 高城の冷ややかな宣告が 事切れたばかりの舞風の耳に、残酷な現実を突きつけた。 しかし振動器具による『特別検身』は、舞風にとって刺激が強すぎた。 彼女は作業台に突っ伏したまま動けなくなり 高城は止む無く独居房へ戻るよう指示した。 第八章:無価値なる美肉 作業場での公開検診を終え、精根尽き果てた舞風は 身体を支えてもらいながら独居房へと戻された。 しかし自室ですら、安息の場ではなかった。 消灯後、鉄扉が閉まる音と共に影が動いた。 昨夜と同じ、サキと数人の受刑者たちだ。 彼女たちは、朝の余韻からようやく回復した舞風の肢体を 獲物を品定めするような冷酷な目で見下ろした。 「良くやったじゃないか、お嬢様。 大勢の前なのに、あんなにみっともなく啼いちゃうなんてねぇ」 サキの指が、涙と汗で濡れた舞風の頬を乱暴になぞった。 「約束は守ったでしょう?だから、もう今夜は・・・」 舞風の掠れた声は、サキの嘲笑にかき消された。 「勘違いするなよ?昨日は『洗礼』を教えるため。 でも今日は、約束を守った『ご褒美』をあげるためだ。 ・・・ほら、みんな。お嬢様に優しいご褒美を与えてやりな」 舞風の抵抗する気力は、すでに朝の作業台の上で霧散していた。 数人に手足を押さえつけられ、舞風は冷たい床に横たわらされた。 昨夜の洗礼よりも、さらに執拗で さらに尊厳を削り取るような『ご褒美』が始まった。 一人は舞風の柔らかな首筋に舌先を這わせ もう一人はまだ熱を持ったままの胸の先端を、歯を立てるようにして弄んだ。 ご褒美と言うだけあって、行為そのものはさほど乱暴ではない。 しかし抵抗しなくなった舞風の肢体を、複数の舌が同時に這い回れば それは『特別検身』に匹敵する凌辱でしかなかった。 「・・・あぁっ・・・ん・・・くうっ!」」 舞風の口から漏れるのは、拒絶の言葉ではなく 条件反射的に溢れ出す無機質な吐息だった。 なすがままにされる肉体の具合に応じて かつては数千万人を前に言葉を紡いでいた唇が 今はただ、下卑た欲望を煽るためだけの音を奏でていた。 「ひ、ひいいっ!・・・もう、許して。・・・またイクッ、いっちゃうっ!!」 サキたちの『ご褒美』で3度目の絶頂を迎えた時 舞風は全身を激しく痙攣させながら意識を失った。 「いいね、その虚ろな目。・・・明日はもっと面白いものを見せておくれよ」 サキは舞風の耳元で、冷たく抗いようのない言葉を囁いた。 ***** ***** ***** ***** ***** 翌朝、作業場の空気は異様な緊張感に包まれていた。 定刻に重厚な扉が開くと同時に、一人の女性が姿を現した。舞風だった。 しかし、そこに女子アナの面影は微塵もなかった。 彼女は、作業服を一切纏っていない全裸姿だったのだ。 薄暗い廊下を通り、数十人の受刑者が並ぶ作業場の中央まで 舞風は一歩一歩、その白磁のような全裸の肢体を晒して歩を進めた。 20代後半の、瑞々しくも完成された曲線。 豊かな胸の重み、引き締まった腰。 そして昨夜の蹂躙で赤く上気したままの秘所。 居合わせた人たちの視線が、隠すもののない肉体に突き刺さっていた。 本来なら、叫び出し、身を隠したくなるような極限の羞恥。 しかし、舞風の瞳は、どこか遠くを見つめるように虚ろで それでいて奇妙に澄んでいた。 作業台の最前列で待ち構えていた高城刑務官は その光景を静かに見守っていた。 舞風は高城の前まで来ると、深々と頭を下げた。 重力に従って豊かな乳房が揺れ その乳輪の先端までが、白日の下に鮮明に浮かび上がっていた。 「二〇八番。・・・その格好は、どういうつもりだ?」 高城の問いかけは事務的だったが、その口角は微かに しかし確かに満足げに吊り上がっていた。 「・・・全ての隠し事を捨てて あなたの『検診』をいつでも受けられるようにするためです」 舞風の声は、震えながらも透き通っていた。 羞恥という感情の向こう側にある 完全に支配され曝け出されることへの『悦び』に 彼女の魂は到達してしまったのだ。 高城は手袋を嵌めた指で、風の顎をくいと持ち上げた。 「よろしい。・・・ようやく、この場所に『相応しい姿』になりましたね」 管理者の冷徹な微笑と、受刑者たちの下卑た期待。 その渦の中心で、全裸になった舞風は 『高潔な報道人』から『無価値な美肉』に自分の立ち位置が変わったことを その身に刻み込んでいた。 第九章:屈服の完成 作業場の中心で全裸のまま直立する舞風に 高城刑務官の冷徹な声が追い打ちをかけた。 「二〇八番。今日はその姿のまま、作業に従事しなさい。 ただし、椅子を使うことは禁じます。 常に跪き、私の足元でその職務を全うすること」 「・・・はい、承りました」 舞風は、数十人の受刑者が並ぶ通路を、膝をついて進んだ。 冷たいコンクリートの硬質的な感触が、剥き出しの膝頭に伝わってきた。 一歩進むたびに、豊かな乳房が重力に従って揺れ その先端が服従を示すかのように硬く突き出していた。 かつて数千万人を前に理知的な言葉を紡いでいた唇は 今はただ、従順な返諾を繰り返すためだけに存在していた。 高城の机の傍らに辿り着くと 舞風は教えられた通り、深々と頭を下げて跪いた。 作業台は彼女の胸の高さにあり 精密な仕分け作業を行うにはあまりにも不自然な姿勢だ。 しかし、その『不自然さ』こそが彼女に課せられた罰であり 何よりの辱めであった。 「手が止まっているぞ。それとも、周りの視線がそんなに気になるのか?」 高城の磨き上げられた黒いブーツが、舞風の腿の間に割り込んできた。 革の硬い感触が、昨夜から過敏になっている内腿の粘膜を圧迫した。 舞風の体はビクリと跳ねたが 高城は決して彼女の肌に傷や痕を残すような真似はしなかった。 彼女は受刑者ではなく、明日にはこの塀の外へ戻る身であることを 高城は冷徹に理解していたからだ。 だからこそ、高城が与えるのは肉体的な傷ではなく 精神を根底から腐食させるような、徹底した『辱め』だった。 「あ、あぁっ。・・・いえ、集中・・・いたします」 舞風は震える手でピンセットを握り、極小の部品を仕分け始めた。 背後からは、サキたちの下卑た嘲笑が絶えず聞こえていた。 「見てなよ、あの女子アナ。全裸で跪いて、必死に作業してるよ。 プライドなんて、もう微塵も残ってないんだろうね」 その言葉を耳にするたび、舞風の心拍数は跳ね上がった。 自分が今、どのような姿で、どのような視線に晒されているか。 それを自覚すればするほど、彼女の指先は震え 身体の奥底からは熱い蜜が溢れ出してきた。 「二〇八番。・・・顔を上げなさい」 高城が、舞風の顎をくいと持ち上げた。 無理な姿勢で上向かされた舞風の瞳は涙で潤み、虚ろな悦喜を湛えていた。 「辱めこそが、人と人の上下を分かつのです。 ・・・あなたは、もう戻れない。たとえこの塀の外に出たとしても この無防備な姿で私に屈した記憶を、一生消えることはないでしょう」 高城の指が舞風の唇を割り、その口腔内を検診するように弄んだ。 跡を残さない。けれど、魂を蹂躙する愛撫。 舞風はまるで慈悲を乞う子犬のように、その指に自ら吸い付いた。 「はぁ、はぁっ。・・・ありがとうございます。おっしゃる通りです」 もはや舞風に、屈辱への抵抗はなかった。 彼女は自らの意思を完全に放棄し、ただ与えられる支配に身を委ねることで 初めて『救い』を見出していたからだ。 作業時間の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。 しかし、舞風は動かなかった。いえ、動けなかったのだ。 足元に広がる自身の不純な痕跡と、全身に刻まれた無数の視線の記憶。 彼女は、自分が『小谷舞風』という一人の人間であることを忘却し 「二〇八番」という管理対象の一つとして完成されていた。 「・・・お疲れ様、二〇八番。 今日が、あなたにとっての『最後の体験取材日』ですね」 高城の冷たい手が、舞風の頬を優しく、そして残酷になぞった。 明日は朝から出所準備。もう作業場でこの姿を晒すこともないのだ。 舞風は、高城の手にそっと自分の顔を寄せ 最後の一滴まで自尊心が溶け落ちていく感覚を噛み締めていた。 監獄という名の聖域で、彼女の自尊心は完全に粉砕され 代わりに、支配されることへの狂おしいまでの『渇望』が 今の肉体を支配し尽くしていた。 最終章:沈黙の聖域 一週間の体験取材を終えた朝 舞風は独居房の冷たい布団の上で、まどろみの中にいた。 ここ数日、彼女は「二〇八番」として 寝る時も起きている時も一糸纏わぬ姿で過ごすことを自らに課し それが当然の日常となっていた。 柔らかい肌が直接、監獄の乾いた空気に触れる。 遮るもののない無防備な肉体こそが、管理される者としての正装であると 舞風は魂で理解していた。 「小谷さん、着替えを持ってきました。 いつまでその姿でいるんですか? さあ、早く」 刑務所の女性スタッフの声に、舞風はゆっくりと目を開けた。 差し出されたのは、局が用意した上質なシルクのブラウスとタイトスカート。 数日前まで彼女を華やかに彩っていた、女子アナらしい衣服だ。 舞風は抵抗することなく言われるがままに腕を通し、ボタンを留めていった。 しかし布地が肌を滑るたび、彼女の心はひどく拒絶反応を示していた。 拘束のない自由な衣服は 今の彼女にとって、拠り所のない不安でしかなかった。 重厚な鉄扉が開き、外界へと続く廊下を歩む。 正門前で待つ顔なじみのプロデューサーやカメラマンたちが 安堵の表情で彼女を囲んだ。 「小谷さん、本当にお疲れ様!」 「顔色が少し上気しているようですが、過酷な取材だったんでしょうね」 プロデューサーの労いに、舞風はいつもの「女子アナの微笑」を浮かべた。 「はい。・・・とても、貴重な体験でした」 その言葉の裏側に、どれほど倒錯した悦びが隠されているか 彼らが知る由もなかった。 数日後、局の看板番組で特集が組まれた。 スタジオの強烈なライトの下、舞風は凛とした姿でカメラを見つめていた。 その凛々しさに、スタッフも視聴者も一皮むけたプロの顔だと絶賛した。 しかし彼女は、かつての自分とは決定的に違う『性癖』を心に秘めていた。 そして、そのことに気付く者は一人もいなかった。 「それでは、私が一週間にわたり取材した、女性刑務所の実態をお伝えします」 舞風の声は淀みなく、理知的だった。 画面には、清潔な食堂や規則正しい作業風景が映し出されたが 彼女は『本当のこと』を何一つ語らなかった。 衆人環視の中で全裸にされたこと。 無機質な振動に翻弄され、涙ながらに絶頂を迎えたこと。 そして、高城刑務官の足元で跪き、服従の快楽に身を震わせたこと。 それらは、報道されるべき『実態』ではなく、 彼女の肉体に刻まれた、誰にも共有してはならない密やかな『聖域』だった。 ニュースを読み上げる舞風のデスクの下。 タイトなスカートの中で、彼女の膝は強く合わされ 指先は自身の腿を爪が食い込むほどに握りしめていた。 視聴者から向けられる数千万の視線。 彼女はそれを称賛としてではなく 自分を晒し者にするための、剥き出しの『監視の目』として受け止めていた。 「・・・(本当の私は、まだあの中にいる)」 放送が終わり、スタジオのライトが消えた。 スタッフたちの喧騒の中で、舞風はふと 高城刑務官の冷徹な微笑を思い出した。 『あなたは、もう戻れない』 その通りだった。自由な生活に戻り、華やかなキャリアを再開させた舞風。 しかし、彼女の魂は今もなお 全裸で跪いたあの冷たい床の感触を忘れられずにいた。 誰かに支配され、辱められ、自尊心を粉砕されること。 その極限の快楽を知ってしまった肉体は 表舞台で輝けば輝くほど、内側で激しく淫らに震え続けていた。 「でも、私にとってアナウンサーは天職だわ。 だって普通の生活で、これほど視線を向けられる仕事はそうそうないもの」 カメラを見つめる彼女の瞳は、かつてないほど美しく そして底知れぬマゾヒズムの深淵に濡れていた。 エピローグ:聖域への帰還 小谷舞風が女子アナウンサーとして頂点に登り詰めるまで そう時間はかからなかった。 三十代を目前に控え、彼女は夕方の看板ニュース番組の メインキャスターに抜擢された。 落ち着いたトーン、的確な分析、そして時折見せる瑞々しい微笑。 視聴者は彼女を『知性と美貌の象徴』と称え 局内でも彼女に意見できる者はいなくなっていた。 しかし、カメラが止まり、スタジオのライトが落ちた瞬間 いつも舞風を包むのは耐え難いほどの虚無感だった。 この三年間、彼女は幾人かの魅力的な男性と浮名を流したこともあった。 実業家、エリート医師、同業のプロデューサー。 彼らは皆、舞風を至宝のように扱い 甘い言葉と優しい愛撫で彼女を飾ろうとした。 「違う。そんなモノが欲しいんじゃないのに・・・」 彼らの指先が肌に触れるたび、舞風の脳裏には あの冷たいコンクリートの感触と 容赦なく肉体を割り振るゴム手袋の摩擦音が蘇っていた。 優しくされるほどに、彼女の渇きは激しさを増した。 「もっと乱暴に、私を『物』として扱って」 そんな言葉が喉元まで出かかっては プロフェッショナルとしての理性がそれを押し留めていた。 自由。それは今の舞風にとって、重すぎる枷だった。 誰にも支配されず、自分の意志で動かなければならない日常。 いっそ、取り返しのつかない罪を犯して、あの鉄格子の中へ連れ戻して欲しい。 そんな危険な妄想が、深夜のベッドで全裸になり 自らの体を抱きしめる彼女の唯一の慰めとなっていた。 運命が動いたのは、初夏の湿り気を帯びた夕暮れ時だった。 局からの帰り道、私鉄のホームで電車を待つ列に並んでいた舞風の視界に 見覚えのある、凛とした後ろ姿が飛び込んできた。 短く切り揃えられた髪、定規で引いたように真っ直ぐな背筋。 そして、周囲を寄せ付けないほどの冷徹な空気。 「・・・高城刑務官?」 心臓が、肋骨を突き破らんばかりに跳ね上がった。 舞風は無意識に列を離れ、人混みをかき分けてその背中を追った。 「待ってください!高城さん!」 声をかけ、振り返ったその瞳。 三年前と変わらぬ、すべてを見透かすような鋭い双眸が舞風を射抜いた。 「小谷さん。・・・いいえ、二〇八番。ずいぶん立派になられたようですね」 その声。その響き。たった一言で、舞風の膝は崩れそうになった。 彼女は半ば強引に、駅ビルの隅にある静かな喫茶店へ高城を誘った。 「あなたの活躍は、いつもテレビで拝見していますよ。 あの取材の後、ずいぶんと『磨かれた』ようですね」 高城はコーヒーを口に運びながら、事も無げに言った。 舞風の目からは、堰を切ったように涙が溢れ出した。 自分でも抑えきれない感情の奔流だった。 「高城さん。・・・私、もう自由な外の世界では 自分が誰なのか分からなくなるんです。 何をしても、どこへ行っても、あの体験取材の日々が忘れられなくて・・・」 舞風の告白を、高城は冷ややかな しかしどこか慈しむような目で見つめていた。 彼女はテーブルの下で、舞風の震える手に自身の指を重ねた。 跡を残さない、けれど魂を直接掴むような、あの時の感触を思い出した。 「もし、どうしても相談に乗って欲しいというのなら・・・。 刑務所に遊びにいらっしゃい」 「えっ、良いんですか? 取材でもないのに」 舞風は息を呑んだ。 「ええ。ただし、誰にも行き先は告げないこと。 事前に私に連絡をくれれば 私が宿直の折に一泊くらいなら『調整』してあげるわ。 ・・・もちろん、あそこへ入るからには あなたは再び『二〇八番』として振る舞わなければなりません。 それでも良いですね?」 「あ、ああっ。・・・ありがとうございます。ぜひ、お願いします!」 それは、三年前のあの日 高城に『あなたは、もう戻れない』と言われて以来 舞風の心の奥でくすぶり続けていた火種が、再び燃え上がった瞬間だった。 数日後。舞風は「数日間の静養」という名目で局に休暇を届け出ると 誰にも行き先を告げずに、一台のタクシーへ乗り込んだ。 向かう先は、あの灰色の壁に囲まれた聖域:女性刑務所だった。 正門の通用口で待っていたのは、私服姿の高城だった。 彼女は無言で舞風を先導し、一般の面会者が立ち入ることのできない 古い管理棟の一室へと案内した。 「さあ。まずはその忌々しい、自由を象徴するような服を脱ぎなさい。 あなたは名前もプライドも持たない、ただの『受刑者』なのですから」 高城の冷酷な命令に、舞風の指は歓喜に震えた。 靴すら履かない一糸纏わぬ姿になった舞風は 自ら冷たい床に膝をつき、高城の足元に額を擦り付けた。 「お帰りなさい、二〇八番。三年間、溜め込んできた『闇』を 今夜一晩かけて徹底的に検診してあげましょう」 高城の磨き上げられたブーツが、舞風の顎をくいと持ち上げた。 窓の外では、自由な世界が何事もなかったかのように回っていた。 しかしこの密室の中だけは、三年前に時が戻ったような 美しくも残酷な『支配と屈辱』の時間が再び動き出そうとしていた。 「どんなことでも拒みません。よろしくお願いします」 これからの受難を想うと、舞風の瞳は狂おしいほどの悦喜に濡れていた。 彼女は今、ようやく『本当の居場所』へと帰って来たのだから。 (おわり)
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