由香の場合


[1] 由香 深夜の一筆書き露出ウォーキング
昨夜、今月の課題、深夜の一筆書き露出ウォーキングを実行してきました。
パンツルック??姿で、パンツの四方にスリットを入れ、上半身はタンクトップ(ノーブラ)を着て、ウォーキングをしました。
当然帰りは、別の道を歩いて帰ってきたので、軽蔑・顰蹙の視線をたくさん浴びました。
べンジー様、こんばんは、お久しぶりです。

私事、堀内由香は現在都内の大手製薬会社でMR--(医薬情報担当者)をやっています。
(MRとは、医薬品の適正使用のための、医療従事者を訪問することなどにより、医薬品の品質有効性・安全性などに関する情報の提供、収集伝達を主な業務として、行う者のことを指す。)
では、何故こんな堅い仕事をしている、私が、露出ウォーキングなどを、やっているのかその理由をお話し致します。
私は、トラブルの一部始終を思い返す。
「堀内くん。我儘もいい加減にしたまえ!」
あばた面の鼻の頭を真っ赤にし営業課長のAさんが、烈火のごとく怒り出した。
口から、泡を飛ばして怒鳴り散らし、拳でドンと机を叩いた。
「子供のお遊びじゃないんだ。内らは全員、営業でメシを食ってるんだからな。そんな学生みたいな屁理屈は通らんぞ」
トラブルの発端は、取引先の病院の某医師が、マンションから郊外の一戸建てへ引っ越すことになったことだ。
荷造りを手伝いに行くようにというA課長の依頼を、私はにべもなく断ったのです。
「何か都合でもあるのかね」
眉を顰めて問うA課長に、私は悪びれもせず、自分の仕事は医師に医薬品の情報を伝えることであり、引っ越しの手伝いをすることではないと言い放ち、さらに、接待によって医者の歓心を得ようとするMRが、少なからず存在することで、医者の側にもそれを当然と考える風潮があるが、そのような旧弊はあらためていくべきであると持論を展開したのです。
「女性MRの中には、色気を武器に契約を取る人もいるようですが、私は、ホステスまがいのことまでして業績を上げたいとは思いません。私たちは、もっと自分の仕事にプライドを持ち、日々研鑽を怠らず、正々堂々と薬に関する知識で勝負していくべきです。それがひいては、製薬会社としての我が社の信用を確かなものにし、働く女性の地位向上にも繋がるのではないでしょうか」
数名の女性社員が立ち上がって拍手した。
が、男性社員は皆そ知らぬふりをし、幾人かの女性MRは苦々しい顔をして下を向いた。
「屁理屈を言う前に仕事をしろ!清泉医大への新薬売り込みはどうなっとる!?まだ報告を受けてないぞ!」
論争では、敵わぬとみてA課長は、話を逸らした。
「あそこのD先生がな、電話で君のことをどうおっしゃったか。今まで新人の君に、気を遣って黙っていたんだが、この際だから教えておこう。『色気もなければ気も利かぬ、気位ばかり高い、ただ飯食らいの無能なMR』そう言ってらしたんだぞ」
あまりの暴言に、返す言葉もない。
私に、批判された女性MRたちが、互いに顔を見合わせてクスクスと笑っていた。
A課長は、ますます調子づいて言った。
「D先生は近々教授に推薦され、ゆくゆくは病院長にまで出世なさるお方だ。企業競争の正念場を迎えている今、もし彼の不興を買って清泉医大との、取引が途絶えることにでもなったら、ああ、恐ろしい。想像するだに恐ろしいことだ」
A課長は、芝居がかった仕草で、猛烈に頭を掻きむしってみせた。
私のことを、愛社精神のかけらもない自分勝手なエゴイストと罵り、黒縁眼鏡がどうの、髪型がどうだの、口紅も引いてないじゃないか、せめて女らしくスカートくらい穿けないのかと、ヒステリックにわめき散らした。
「一週間だ。一週間以内にD先生から色よい返事をもらって来い。どんな手段を使ってでもだ。それが出来なければ、堀内くん、君には清泉病院の担当を降りてもらう。おい、Tくん。すまんが、彼女に君のミニスカートを貸してやってくれ。下着がはみ出そうなくらい短くて、挑発的なやつをな」
D先生が、たちの悪い女ったらしであることは、普段から聞いて知っていた。
でも医者の人格や私生活は、私たちMRには関係ないの。
私の仕事は、お医者さまに医薬品についての、正確な情報をお伝えすること。
それだけなのよ。
この後、自身の考えが甘かったことを痛感することになるのだ。


[2] ベンジー
5月の課題を実行して来たのだね。
スリット入りパンツにノーブラ&タンクトップか。
かなり際どい格好だね。

ところで、由香はMRだったか。
医療モノのドラマみたいな展開だね。
正論をぶちかます女性社員に、セクハラまがいの営業を押し付ける上司か。
決して負けられない感じだね。
それがどう露出ウォークに繋がるのかな。
課長の指示で課長に営業をかけるか。
下着が見えそうなミニスカートを履いて。
由香に、どんなスカートが用意されるのだろうね。
その後はどうなったのか、楽しみにしているよ。


[3] 由香 「抱かれて来い」って
エレベーターが、三階に着いた。
病棟の暗い廊下に歩を進めながら、私は先輩MRの勝ち誇った顔を思い返していた。
「どんな手段を使ってでも」というのは「抱かれてこい」という意味なのよ。
お高くとまっている堅物のあなたにそれが出来て?超ミニのスカートを渡しながら、意地の悪い眼がそう語っていた。
(負けるものですか―。)
私は、胸の内でつぶやいた。
入社以来、寸暇を惜しんで猛烈に勉強した。
自社の製品のみならず、他社の製品に関しても、薬についての知識なら誰にも負けない自信がある。
会って一時間、そう一時間だけ話しを聞いてもらえれば、必ずD先生を説得できるはすだ。
A課長の口ぶりからすると、D先生が面会の時間をとってくれないのは、第一に自分の服装、第二に媚を売らぬストレートな態度が気に入らないということらしかった。
そんな狭量な男に媚びるのは、断固お断りですと、言いたいところだが、さしあたって服装くらいは妥協してもよいと思った。
決して容姿に自信がないわけではなく、ただそれを武器にしたくないというだけなのだから。
(仕方がないわ。今回だけ我慢するのよ、由香…)
露出度の高い服装で営業活動をするのは、堕落した先輩MRたちの常套手段だ。
彼女らに倣うのは、屈辱的というほかないが、一度限りだと自分に言い聞かせた。
私は、薄くアイシャドウを塗り、ルージュを引き、いつもは、束ねているだけの髪を美容院で整えてもらった。
とにもかくにも、D先生に時間を割いてもらわぬことには始まらない。
コーナーを曲がりかけた時、理学治療室の窓から灯りが漏れているのに気付いた。
近づくと、中から男女の話し声が聞こえる。
もしや、と思って入口の扉をノックしてみた。
やや間があって、薄く扉が開いた。
中年の女性が顔をのぞかせた。
見覚えのあるきつい表情は、M総看護師長であった。
「夜分にすみません。わたくし、S製薬の堀内と申します。あのぅ・・・・・・D先生は?」
「いらっしゃいますよ――先生。お客さんですよ。例の美人MRさん」
先方も私のことを、覚えていたらしい。
「やあ、君か」
D先生は白衣姿のまま、どっかりと診察机の前に座っていた。
持っていたコ―ヒ―カップを机の上に置くと、私に向かって手招きした。
いつになく機嫌がよさそうだ。
普段は、パンツルックに身を固め、化粧っ気のない顔に大きな黒縁眼鏡、髪をざっくばらんに後ろに束ねて、せっかくの恵まれた容姿をわざわざぶち毀しにしている自分が、今夜だけは普段の自分に、似つかわしくない格好で病院(清泉医大)を訪れた。
ストレート・ヘアーになめらかなウェ―ブをかけ、くっきりした目鼻立ちには艶やかな化粧をほどこしている。
黒のキャミソールと赤いミニスカート、露出した肌の白さを際立たせていた。
「ちょうどよかった。色っぽい熟女と二人きりの夜勤で、あやうく誘惑されそうになっていたところだ」
「まあ先生ったら冗談ばっかり」
総看護師長が流し目でD先生を睨んだ。
「こんばんは」
私は、丁重に頭を下げた。
話し声の感じだと、三人くらいはいそうな気配だったのにと訝しんだ。
宿直の医師が、どうして理学治療室にいるのかも不思議だったが、あえて黙っていた。
余計なことを尋ねてD先生の機嫌を損じたら、もう二度と交渉の機会はないだろう。
それだけは、絶対に避けなければならない。
「これ、つまらないものですけど」
A課長から託された包を渡す。
何が入っているのかは、聞かされていないが、かさばってズシリと重い荷物だった。
おそらく洋酒のたぐいだろうと推測した。
まさか中に、自分を凌辱するための、卑猥な性具類が入っていようなどとは思いもよらない。
「仕事熱心だね。こんな夜中まで営業かい?」
包みを受け取りながら、D先生はお世辞とも皮肉ともとれるようなことを言った。
舐め回すように私の身体を見ている。
鳥肌が立つような、嫌悪感をおぼえ、思わず目を背けた。
女性を対等な人格ではなく、快楽の道具とみなしている卑しい視線。
男たちの、そんな視線が嫌でたまらず、私は二十歳の頃からスカートを穿かなくなったのです。
「座りたまえ」
D先生は患者用の椅子をすすめた。
「ありがとうございます」
椅子に腰をおろすと、大胆な超ミニは自然とずり上がり、太腿の奥に白いものがのぞいた。
その部分にD先生の熱い視線を感じ、慌てて膝を閉じ合わせ、ミニスカートの裾をしっかりと手で押さえた。
羞恥で全身が熱くなった。
「綺麗な脚をしているね」
D先生の手がスッと太腿に伸びてきた。
「あッ」
突然のことで、身体がすくんでしまった。
それを良いことに、D先生は臆面もなく触りまくる。
まるで診察でもするかのように、パンストの薄皮に包まれた私の太腿を撫で回した。
あまりの不気味さに全身総毛立った。
多少のセクハラめいた言動は予期していたが、まさかここまで図々しいとは!払いのけて逃げ出したい衝動を必死にこらえた。
「こんな素敵な脚を、どうして今まで隠していたんだい?おまけに今日は化粧までしてきてるじゃないか。フフフ、このいい匂いは香水かい?」
D先生は私の襟元に顔を近づけ、フンフンといやらしく鼻を鳴らした。
「いい心がけだよ。女性はそうでなくちゃいかん。しかし何だな。こうして近くで見ると、堀内くんは本当に美人だねェ」
「お、お褒めにあずかって恐縮ですわ」
私は、背を後ろに反らしたまま、ひきつった笑顔を浮かべながら、さらに奥へと忍び込もうとする手を軽く押さえ、さりげなく椅子をズラした。
「いけませんよ、先生」
師長が子供をあやすように言った。
「なあに、冗談さ。挨拶代わりみたいなもんだ」
師長に言われて、D先生は意外にあっさり手を引いた。
少しも悪びれた様子はない。
「この人のやる気を試してみたんだよ。まずは合格かな。では商談といこうか」
D先生はカップを手にとり、残りのコーヒーを一気に飲み干すと、急に真面目な顔になった。


[4] ベンジー
どんな手段を使っても、か。
それで由香も、不本意ながら、女の武器を使うことにしたわけだ。
D先生に気に入られるように、スカートを履いて、化粧もしたのだね。
部屋に行くと看護師が出迎えたか。
他にも人がいそうな気配と言うが、隠れていたのかな。
何にしても、とりあえずは気に入って貰えて良かった。
セクハラまがいの行為もあったが、どうにか話を聞いて貰うそうなところまでは進んだのだね。
さて、次はどんな展開が待っているのかな。


[5] 由香 抜き打ちの『治験』になりました
「先日のパンフレット、しっかり読ませてもらいましたよ。確かに悪くなさそうな薬ではある」
「ええ!検査用麻酔薬として、当社の開発したボルチニンは画期的ですわ」
私は、ホットした。
屈辱に堪えた甲斐があったと思った。
まだ嫌悪感は冷めやらず、撫で回された太腿も粟を生じたままだったが、この機を逃してはならじと勢い込んで喋り始めた。
「内視鏡検査に用いる全身麻酔薬としては、ザンペック、レキシコン、アミフェンタールなどが一般的ですが、薬が切れて覚醒するまでの、時間に個人差が大きいのが難点です」「言えてるね」
「検査後の患者さんの中には、何時間もベッドで寝たままという方もいらっしゃって、そのことが効率の良い検査の妨げになっていますね」
「うむ」
「また、麻酔中は呼吸も抑制されてしまうため、チューブでの人工呼吸が必要な場合も生じます」
「その通りだ。厄介でね、あれは」
「ボルチニンは、二ミリグラムの注入で覚醒に、要する時間は六十分から八十分。ブレは僅少です。麻酔が効いている間も呼吸機能に影響がなく、覚醒後にフラついたり眠気が、残ったりすることもまったくないので、患者さんは自分で車を運転して帰宅することも出来るのですよ」
私はサンプルを取り出し、D先生に手渡した。
「えらく自信ありげだね」
「はい。現時点で当社のボルチニンがベストの麻酔薬であるのは事実です。」
「ならば、百聞は一見に如かずだ。僕は実証主義者なもんでね。まずは証拠を見せてもらおうか」
「証拠?」
「うん、証拠だ。患者の生命を預かる者として、僕は製薬会社のパンフレットに記載された、データーを鵜呑みにするわけにはいかないのだ。現実に目の前で起こったことのみ信じる。それが僕の実証主義であり、医者としてのポリシーだ」
「ご立派ですわ」
「そこで相談だ。試しに今ここで君にこの薬を注射してみる。つまり抜き打ちの『治験』ということになるが、もし君が時間以内に覚醒し」
D先生は言葉を切って部屋の中を見回した。
広い室内には理学治療用の、さまざまな器具が置かれている。
骨折患者のリハビリや高齢者の、運動機能改善訓練に使われている部屋なのだ。
「覚醒後に、ここにある器具を使って、正常な運動機能を示すことが出来たなら、うん、もしそれが出来たなら、今使っているO社の製品のかわりにこのボルチニンを、採用するとしようじゃないか」
「本当ですか!?」
「約束するよ。うちの科だけじゃない。胃腸科、循環器科をはじめ、他の科の先生方にも、僕のほうから強く推薦しておいてやろう。どうだい?やってみるかい?」
「ええ、ぜひ!」
私は、大きくうなずいた。
麻酔薬のマーケットは巨大だ。
全国でも有数の規模を誇る大病院・清泉医科大付属病院の多くの科で、ボルチニンが使われることになれば、その評判はたちまち全国に広がり、S社のマーケティングシェアは一挙に拡大するだろう。
A課長のたまげた顔を想像して、私の心は浮きだった。
「ぜひお願いします!!」
D先生の気が変わらないうちにと、私はいそいそと上衣を脱ぎ、艷っぽい黒のキャミソール姿を露にした。
興奮のあまり、今しがた受けたセクハラの口惜しさも忘れていた。
それでもD先生と二人きりであったとしたら、私も躊躇したかもしれない。
だが、女性看護師、それも総看護師長のMさんが、いるから安心だと思った。
パンプスを脱ぐと、リハビリ用のベッドに乗った。
身体を仰向けに横たえ、二の腕を横に伸ばす。
木を張っているので、官能味あふれる脚線美を晒していることも気にならなかった。
「では、始めるよ」
「はい」
私は、壁の時計で時間を確認し、静かに目を閉じた。
D先生の指が静脈を探り当てている。
チクリと痛みを感じた。
「ゆっくりと十まで数えて」
ジーンと痺れていく感覚がある。
私は小声で、「一、二・・・」と数を唱えはじめた。
必ず成功するという確信があった。
「三・・・四・・・」
声はそこで途切れたが、胸の内では数え続けている。
六まで数えた時、「眠りましたか?」という男の声が遠いところで、響いた気がした。
聞き覚えのある声に、誰だったかしらと思うと同時に、私の意識は昏睡の闇に沈んでいった。


[6] ベンジー
太腿を撫でまわされるというようなセクハラを受けてながらも、営業の機会を失くすわけにはいかなかったのだね。
全身麻酔薬の売り込みか。
専門的な言葉を並べてD先生を落とそうとしたわけだ。
返ってきたのは実証主義と治験か。
医者らしい言葉だが、実験台になれと言うのはやりすぎかも。
それでも、看護師たちがいたから、その申し出を受けたのだね。
麻酔薬を打たれ、その効き目を証明することができたようだ。
さて、意識を闇に沈めた後は、どうなったのかな。

[7] 由香 一糸まとわね全裸にされていました
「ううン・・・」
私は、腹部に違和感を感じ呻いた。
麻酔が切れかかって、下腹に圧迫感を感じていた。
呻きながら、グラグラと頭を振った。
私は、パッと眼を開いた。
目の前の光景に驚愕し開いた眼が丸くなった。
「な、何!?えッ」
私の鼻の上に、のしかかっている男の涎が垂れてきた。
男の顔はだらしなく緩んでいる。
咄嗟にはA課長だと判別できなかった。
「いやああッ!!」
突きのけようとして、犯されていることに気が付いた。
一糸まとわね全裸にされていることも。
「やめて!ああッ、A課長。何を・・・ううッ、き、気でも狂ったのッ!?」
「え、営業課長として、お、俺には、製品の効能を検証する、ぎ、義務があるんだ」
A課長の声は完全に裏返っていた。
「特にこのポルチニンは、か、覚醒がしっかりしているのがウリだから・・・」
「それとこれと、どういう関係がや、やめてッ・・・・・・やめてくださいッ」
「それがおおありなんだ。麻酔から覚醒した後、すぐにセックスしたいという、患者だっているかもしれないだろ?」
「そ、そんな人、いませんッ!」
懸命に顔をそむけながら私は叫んだ。
課長が接吻を求めて唇を突き出してきたからだ。
「いや、分からんぞ。最近の患者は我儘なんだそうだ。我々製薬会社として生き残るためには、現代社会の多様なニーズに応えていかないと」
「何をおっしゃってるのか分かりません・・・・・・ああッ、もういい加減にしてッ!」
「つまり、君が感じてくれないと、社としても困るということだよ。お堅いことで評判の君が乱れるくらいでないと、この薬の覚醒作用への信頼がゆらぎ、ひいては我が社の信用がーだから・・・・・・だからキスしよう、堀内くん」
無茶苦茶な理屈を言う。
キスを拒まれた課長は、いきなりガブリと私の首筋に食らいついた。
唇でチュウチュウと肌を吸い、舌でベロベロと舐め回す。
私を感じさせようと必死なっていた。
「な、いいだろう、堀内くん」
亀のように首を伸ばし、執拗に口づけを迫る。
「君は覚えちゃいないだろうが、眠っている間に俺たちはもう熱いディープ・キッスを交わし合った仲なんだぜ」
「なっ、何ですって!?」
「そればかりじゃない。君は可愛い舌を出して俺のチンポをしゃぶってくれたんだ。さっきまでず―っとフェラチオしていたんだぜ。そりゃあもう美味そうになァ。へへへ」
顔が無意識にひきつった。
信じられないA課長の言葉だった。
が、言われてみれば、舌の根が痺れて顎に痛みがあった。
かすかに口腔に異臭が残っている。
魚の腐ったようないやな匂いだ。
とたんに猛烈な嘔吐感が襲ってきた。
「グフ・・・・・・ウエッ」
男の性器をしゃぶらされたのだ。
こんな男の薄汚い生殖器を・・・私は、顔をねじったまま何度も唾を吐いた。
「けだものッ」
猛烈な憤りがこみ上げてきた。
昏睡している女性の服を脱がせ、意識がないのをいいことに、自分の変態性欲を満たす。
何というあさましさ。
何という卑劣さだろう。
こんな下衆な男の言いなりになるくらいなら、いっそ死んだほうがましだ。
居直った私は、激しく抵抗した。
貫かれている下腹をよじりたて、密着した腰を引き離そうするが、容易に離れない。
離れないのなら、今度は相手の胸板を突き上げ、拳で遮二無二なって顔面を殴りつけた。
「バカッ!けだもの!人でなしッ!」
「痛ッ、いててッ!な、何しやがる。このアマ!」


[8] ベンジー
麻酔薬の実験台になったと思ったら、全部、計略だったのだね。
A課長がのしかかっていたのか。
それは焦っただろうね。
しかも、一糸まとわぬ全裸にされていたか。
製品の効能を検証する義務がある、か。
そこまではギリギリ認めるとしても、覚醒した後セックスしたいと言う患者がいるかもしれないって。
そこまでいったらこじつけも良いところだ。
由香が感じないと薬の信頼が揺らぐか。
いろいろと考えるものだ。
眠っている間にディープキスも済んでいたわけだ。
腰まで使われていたのでは、もうあきらめるしかないみたいだが、それでも抵抗は続けたのだね。
さて、それはどこまで続くのかな。


[9] 由香 淫らな実験にかけられると知って
「ハハハ、だいぶてこずっているな」
いつの間に戻ったのか、入口を背にしてD先生が立っていた。
看護師長も一緒だ。
「どうやら時間内に覚醒したようだね」
「まあ、ひどい顔」
師長はA課長のぶざまな、姿を見て噴き出していた。
「先生!」
「先生、助けてッ!」
「発声はしっかりしていますわ」
師長が言うと、D先生は大きくうなずいた。
「声帯に麻酔は残っていないようだ。この暴れっぷりからして、上半身の筋肉はまず問題ない。あとは下半身。それと感覚神経だな」
「先生、や、やめさせてください!」
「せっかくの治験を、途中で中断するわけにはいかないよ」
D先生は薄笑いを浮かべつつ、ベッドの傍に近づいてきた。
理学治療用ベッドの足側にはクレーンに似た支柱が、頭側には患者の上体を固定する、U字型の金属バーが備わっている。
上下から腰椎を牽引するためのものだ。
先生は、私の片腕をつかむと、金属バーをあてがって、がっしりと固定してしまった。
「な、何を!?」
驚く、私に抗いの隙を与えず、もう片方の腕を師長が固定してしまった。
師長は、ガーゼでA課長の顔の血をぬぐっていた。
「せ、先生!?ああ、師長さんまで・・・」
ベッドに羽交い締めにされた格好の私は、驚愕の視線をD先生と看護師長の顔に注いだ。
信じられない。
医者、そして看護師長までが、グルだったとは!この病院は一対どうなっているのか!?「さあ、Aくん。存分にやりたまえ。ちなみに僕が知りたいのは、彼女の感覚神経がしっかり覚醒しているかどうかだよ」
「分かってますよ。先生」
つながったまま上体をもたげ、A課長は私の身体を眺める。
「フフフ、聞いたろう、堀内くん。先生のお許しが出たから、このまま治験を続けるよ。まずはバストからだ。君のこの大きなおっぱいの、性感が正常に戻っているかどうか、じっくりチェックさせてもらうからな」
「いやああッ!」
身動きできない身体を、淫らな実験にかけられると知って、私は恐怖に怯えた。
何とか逃れようと必死に裸体をよじりたてるが、自身の身体に固定された器具はビクトもしなかった。
汗ばんだ腹部が、大きく波を打ち、豊満な乳房が左右に揺れ弾んだ。
ピンク色の乳首までが、ヒクヒクと怯え震えている。
「誰か・・・・・・ああ、誰かあッ!」
「呼んだって誰も来やしない。ここは病棟から離れているし、警備員が巡回に来るまで、まだたっぷりと時間があるからね」
「あきらめて治験に協力することだ。それが我が社のためだし、医学への貢献にもなる。そうだろう、堀内くん」
A課長は因果を含めるように言いながら、ただれた舌を私の首筋から鎖骨、鎖骨から胸元へと這わせていく。
「悪いようにはしないよ。契約が成立すれば、君には特別に報奨金を出そう。フフフ、それに君だって、まんざら嫌いな方じゃないはずだ。何せこの身体だもんなァ」
長い舌を蛇のようにひらめかせ、ぶ厚い唇で蛙のように吸いついた。
身体から滲み出る脂汗がA課長をどっぷりと、恍惚に浸していく。
さっきまでの、弱腰の姿勢はどこへやら、我を忘れて私の肌に、のめり込んでいた。


[10] ベンジー
先生も、師長さんも助けてくれなかったかのだね。
と言うより、課長とグルだったようだ。
せっかくの治験を無駄にするわけにはいかないか。
それどころか、下半身や感覚神経にも観察したいところがあるようだ。
実験台にされた方はたまったものではないよね。
その後も、身動きできない身体をチェックされたわけだ。
ホントのところはどうだったのかな。
課長が言うように、まんざら嫌いではなかったりして。