第2話 愛美はM?
バックネットから下ろされた愛美はひとりで歩くこともできなかった。全裸で大の字磔にされたまま靖史とエッチしまくり――と言っても一方的に犯されていただけだが――下半身に力が入らないらしい。朋美は、そんな愛美をタオルケットで包んだ。迎えに来た芳樹にお姫様抱っこされた愛美は、恥じらいながらも嬉しそうな表情を隠さなかった。
「良かったね」
朋美は、愛美の鼻を人差し指で突いた。
車の後部座席に乗せられた愛美は、君枝の膝枕に甘えた。運転席に芳樹。助手席に朋美。車は二束三文の中古車だった。靖史は先に自転車で帰った。定員オーバーというより芳樹が怖かったに違いない。
「朋美はどうするんだ」
愛美の家に着くと芳樹は運転席のドアから片足だけ出して聞いた。
「私は……」
やっとひとりで立てるようになった愛美が、タオルケットのすき間から手を出して朋美のシャツを摘む。
「いいよ、わかった。また明日な」
「お兄ちゃんも泊まっていったらいいじゃない」
芳樹は返事をしない。愛美に向かって右手を振ると車のドアを閉めた。母親と、妹と、カノジョと。愛する者三人に見送られて去るのはどんな気持ちなのだろう。朋美はテールライトが見えなくなるまでそこに立っていた。
「あの子も意地っ張りだから」
君枝が先に玄関へ向かう。朋美は愛美の肩を抱いた。
「今日は愛美ちゃんのお部屋に泊めてね」
愛美は顔を真っ赤に染めながらも、満面の笑みを浮かべて頷いた。
玄関の明かりの下で朋美は愛美の手首を取る。綿ロープで縛られた痕がはっきりと残っていた。肌が擦りむけるという程ではないが、このままでは何があったか明らかだ。
「痛くない?」
朋美が指先でそっと撫でた。
「はい、大丈夫です」
「お風呂でよく揉んでね。痕がすぐに消えるから」
「一緒に入ってくれないんですか」
愛美はそうしてくれるものと思っていたらしい。
「君枝さんがいるからね。今日はひとりで入りなさい。お楽しみは後で、ね」
お風呂から上がり、パジャマに着替えた愛美がパソコンの前にいた。『露出っこクラブ』の管理人に今日の報告をするためだ。肩まで伸びたストレートの髪からシャンプーの香りを漂わせていた。キーボードを叩く後ろから朋美は画面をのぞき込む。アルファベットが小気味よく日本語へと変換されていく。
「大したものね。パソコンはいつから始めたの?」
「中学生になってからです」
愛美は指を止めようとはしない。足下には愛美がグランドで脱いだ衣類が手提げ付きの紙袋に入れられたまま置いてあった。
「エッチなサイトばかり見て回っているんじゃないの?」
「そんなこと……」
「後で私にも見せてね」
朋美は愛美の頬にキスをした。お風呂上がりの肌がさらに赤く染まる。それを見た朋美は悪戯心を起こし、愛美の耳に舌を這わせる。
「ああん」
愛美が背筋を反らした。
「ダメじゃない、手を休めちゃ。管理人さんが待っているわよ」
「だってぇ……」
「文句言わない。早く打ち終わらないと一緒に寝てあげないわよ」
「ああ……」
朋美の舌が耳の裏側に下りていく。そこが愛美の弱点であることはわかっていた。ついさっき靖史と楽しんできたばかりだと言うのに、愛美の息遣いが妖しくなっていた。朋美が泊まっていくと聞いただけで期待に胸を膨らませていたに違いない。視線がディスプレイを捉えていなかった。
「はい、おしまい。続きはメールを書いてからね」
「えっ。ダメっ、そんな……」
愛美が振り向き、恨めしそうに見上げる。朋美は顎でパソコンを示した。
「朋美さん、今日はいじわるばかりですね」
磔の時も、あと少しでイケるというところで指を止めた。今もその気にさせておいて舌を離した。愛美の恨み言も当然のことだった。愛美は口を尖らせ、音を立ててキーボードを叩いた。
「愛美ちゃんは私の奴隷のクセに、靖史君とあんなに仲の良いところを見せつけるからよ」
「朋美さん……」
再び振り向こうとする愛美を、朋美は背中から抱え込んだ。
「ご主人様だって妬くことはあるんだからね」
そのまま両手を伸ばしてキーを打つ。
『ご主人様が私を大好きだと言ってくれました』
メールの間に脈絡のない一文が入った。朋美はキーボードの上で手のひらを広げて見せた。後はご自由にという意味だった。
愛美の顔は朋美のすぐ横にある。お互いに表情は見えない。
『もちろん私も大好きです』
朋美は首を捻り、愛美の唇を奪う。両手を膝の上に置き、されるがままの愛美。フレンチキスのつもりだったが、愛美はそれ以上を期待していたようだ。
「またあ」
「だから、これ書いてからだって」
「いいですよ、もう」
愛美は朋美を少しだけにらみ付けるとキーボードに指を戻した。
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管理人さん、こんばんは。
愛美です。
もう「おはようございます」かもしれませんね。
頂いていた管理人からの罰を実行してきました。
今、帰って来たところです。
全裸磔で放置責めにされるというのは、思っていた以上に辛い罰でした。
自分で選んだと言うのに情けないです。
野球場でハダカになり、バックネットに大の字で縛り付けられました。
手も足も動きません。
どこからでもハダカを見られているようで、ホントに恥ずかしい格好です。
深夜でしたから、こんな時間に人はいないとは思ってみても、
万一見つかった時のことを考えると心臓がつぶれそうでした。
身動きできなくなった私にご主人様が悪戯しました。
女の子の感じるところを責めるんです。
こんなところでと思うのですが、いつもより余計に感じてしまうんです
もう少しでイキそうだったのに、、、
ご主人様は私に目隠しをしました。
「ひとりにしないで」って思ったのですが、そのままどこかに行ってしまいました。
足音が遠くなっていくのが聞こえました。
ひとりにされたんだ。
これが放置責めなんだって思いました。
とても心細くて、もう一秒だって耐えられないって思いました。
でもどうしようもありません。
物音にばかり敏感になっていました。
ご主人様が私を大好きだと言ってくれました。
もちろん私も大好きです。
ごめんなさい。
今、ご主人様が後ろにいて画面を見ているのですが、たまに悪戯するんです。
頬にキスしてくれるのは嬉しいんですけど、、、
続きです。
しばらくそうしていると足音がしました。
ご主人様が戻って来てくれたのだと思いました。
でも声をかけてくれないのです。
いきなりキスされて、、、
おっぱいを揉まれて、アソコも嬲られて、
ご主人様じゃなかったらどうしようって思っているところへ決定的な出来事が。
女の子の入り口におちんちんが当たったのです。
レイプされる。
そう思いました。
手足を広げたまま縛られている私は抵抗できません。
アソコも全くの無防備です。
声を出そうとすると口を塞がれました。
何もできないで入る内におちんちんが私の中に入ってきました。
こんなのないって思っていると、それはY君でした。
目隠しを取ってもらい、二回目のエッチをしてしまいました。
ロストバージンから一週間ぶりです。
と言っても、私はただされているだけでしたが。
Y君がとても逞しく感じました。(きゃっ、恥ずかしい)
ご主人様にも見られていたようです。
Y君と仲が良くてジェラシーだって言っています。
このメールが書き終わったら、たっぷりとかわいがってくれるそうです。
長くなってすみません。
またご報告致します。
愛美
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愛美がメールを書き終えるのを朋美はずっと後ろで見ていた。「どれどれ」と言って画面をスクロールさせ、最初から読み直す。途中で何度か止める度に愛美が横目で朋美を見る。愛美が『露出っこクラブ』の管理人にメールするのは慣れっこだろうが、朋美がそれを見るのは初めてだった。
「へぇー、こんな風に書いてたんだ」
「はい……」
「それじゃ、たっぷりかわいがってあげないとね」
愛美の肩が揺れた。朋美はそれを見ながら送信ボタンをクリックする。メールソフトが送信完了のメッセージを返した。
「どんな返事が来るのかしら」
言ってみたものの、朋美の興味はもう愛美に向けられていた。
「ハダカになって。いつものこれ、付けてあげる」
朋美が紙袋から愛美の衣類を出し、その一番奥から赤い首輪を取り出した。
「ここでもそれ、付けるんですか」
「イヤ?」
「そうじゃないけど……」
「じゃ、早く」
愛美はイスから立ち上がるとパジャマのボタンに指をかけた。ひとつずつ外していく動作を朋美が見つめる。自分だけ先にハダカになるのが恥ずかしいのだろうか。その動きは鈍かった。時折、首輪に視線を向けたりもした。
丸裸になった愛美は幼さを残す体型だった。陸上部で走り込んでいるだけあって無駄な肉は付いていないが、腰回りの曲線、特に腹部の膨らみは少女のままだ。Bカップの乳房は成長の余地を残していた。この子が野外で磔にされて局部を貫かれたと聞いても、誰もがその耳を疑うことだろう。
愛美は体の前で腕を交差させていた。胸を隠したりすれば朋美の怒られると思ったのだろう。乳首にも恥丘の茂みにも触れてはいなかった。その分、指先が落ち着かない様子を見せている。
朋美が脇に立つと、愛美の踵が後ろへ下がろうとした。
そんな愛美を朋美はいじらしく思う。好奇心は旺盛でも、まだまだ中学生。怖いことも多いのだと。そんなところはおくびにも出さず、赤い首輪を愛美の首に巻き付ける朋美。金具を留め、南京錠を下ろした。
「これでまた私の奴隷ね。愛美ちゃんはもう何もできないのよ」
「ああ……」
愛美が膝を付いた。視線は宙をさまよっている。「私の奴隷」と言われることは、イヤではない筈だ。普段は気丈で男勝りの愛美だが、生まれつきのMなのだと朋美は思っていた。ハダカで首輪をして跪く姿がとても似合う。
「今日はどんな風にイジメようかなあ」
朋美が腕組みをして愛美を見下ろす。
「まだイジメるんですか?」
愛美が言うのも無理はない。ついさっきまで全裸で野外に放置されていたのだ。
「だって、愛美ちゃんがイジメで欲しそうな顔をしているんだもの」
「私が? そんなこと……」
「ほらほら、この辺にイジメてくださいって」
朋美が前屈みになって愛美の頬を指で撫でた。
「私をベランダに繋いでください、ですって。私は愛美ちゃんのベッドを使わせて貰うけど、それでいいかしら?」
「かわいがってくれるんじゃ……」
愛美は下まぶたに涙を溜めていた。
「ウソよ。いらっしゃい」
朋美は愛美の手を取り、ベッドへと導く。掛け布団を捲ってハダカの愛美を寝かせると自分も服を脱ぎ出した。愛美が布団から目だけ出して朋美を見ていた。朋美は人差し指を立ててベッドの奥の壁を指す。あっちを向いていなさい、という意味だ。愛美はその意図に気づき寝返りを打った。
(素直で頭のいい子なのよね)
朋美は全裸になると、部屋の明かりを豆電球ひとつにしてベッドに潜り込んだ。愛美が背中を丸めていた。震えているようにも見える。
朋美はそっと肌を合わせた。
「優しくしてくださいね」
愛美とこうするのは二回目だ。前の時はまだバージンだった。靖史とエッチしたのも、今日で二回目の筈。まだ怖さの方が先立ってしまうのだろう。
「どうしようかなあ」
朋美は耳たぶの裏側を舐めた。
「あん、朋美さんのイジワル」
「ご主人様にそんな言うと、もっとイジワルしちゃうわよ」
「そんなのダメです」
愛美は体を反転させて朋美と向き合う。それを迎え撃つように朋美が唇を塞いだ。さっきのようなフレンチキスではない。愛し合う男女の情熱に劣ることなく、女の子同士の柔らかさで包み込むようなキスだ。
愛美はもうそれだけで腰が砕けてしまったことだろう。もう何もできないと暗示をかけてあるから、自分から朋美に抱きついて来ることもない。両手をまっすぐに伸ばし、ただされるがままに愛撫を待っている。
(かわいい子。私もこんなだったのかしら)
朋美は唇を離さなかった。愛美を仰向けにするとその上に体を載せる。初めてのディープキスでは朋美の舌から逃げ回っていた愛美も、今はおっかなびっくりに絡ませて来る。普段の態度そのままだ。
芳樹とのキスでは味わうことのできない甘さが舌先を包む。意識がそこだけに集中していく。まるで重なった口の中だけがふたりにとってすべての空間であるかのようだ。舌と舌が抱き合うようにお互いの粘液を舐め取る。際限がない。いくらでも欲する。このまま永遠の時間を刻もうというのか。
朋美はそれでも良いと思った。
女の子同士で肌を合わせる蜜の香り。恋愛とは違う何かに心を溶かす。朋美がそうなのだから愛美は尚更なのかもしれない。突然自分の体が消えて無くなったら、この子はどうなってしまうのだろう。
唇を遠ざける朋美。我が子を慈しむ母親の目で愛美を見下ろす。
ひな鳥がエサを待つように口を広げる愛美。その頬にキスをすると、朋美は体を下げて愛美の胸に顔を伏せる。少女の胸の谷間に触れる唇。舌先が素肌を這う。
「あふぅ……うううん」
愛美の吐息が頭上で聞こえた。朋美は音を立てて肌を吸うと上体を起こす。掛け布団がめくれ、オレンジ色の薄明かりに愛美の上半身が浮かび上がった。小ぶりな乳房ではあったが、愛美の華奢な体にはむしろ似合っていた。朋美はその麓に手のひらを添える。揉みしだくと表現するにはまだ少し早かった。一気に山頂まで駆け上がるとサクランボの粒が大きくなっていた。朋美の指がわずかに触れただけで背筋を反らせる。
「はあぅっ」
戸惑いがちな喘ぎ声にも幼さがにじみ出る。
「乳首をこんなにしちゃって、ホントにイヤらしいのね」
「ああっ、そんな……」
「この子には罰を与えないとね」
朋美はサクランボをひとふり舐めると一転して歯を立てた。
「ひぃぃぃぃーーーー」
そんなに強く噛んだわけでもないのに、愛美は悲鳴のような声を上げた。それだけ敏感になっていたということだろう。それでも容赦はなかった。乳首の根本に歯を食い込ませ、さらに深く噛みしめる。
「いいいっ、いいっ、あっ、ああああ……」
痛みは増している筈なのに、口から漏れる息は悲鳴から喘ぎへと変わっていく。
「ホントにイヤらしいんだから」
朋美は口を離した部分に指を当てた。歯形が残っているのがわかる。舌先を尖らせてその部分を舐める。少しやり過ぎたかもしれない。朋美は矛先を変えた。体を愛美の真上からずらして指先を腹部に当てる。歩くような動きで若草の茂みを目指す。朋美の意図に気づいたの、愛美が息を飲んだ。
生え始めたばかりの若草をかき分ける。その先にある秘密の巣窟はどうなっているのだろう。大の字拘束のまま靖史にイカされてから、まだ一時間ほどしか経っていない。
「ま、またっ……またですか」
茂みを弄ぶばかりでその先に進もうとしない朋美に、愛美はまた焦らされているのだと思ったらしい。
「あっ、ごめん。考え事しちゃった」
「ええっ、ひどいですぅ」
愛美からすればそういうことになるのだろう。この状況で放っておかれたのではたまったものではない。
「ははっ、そうよね」
朋美は首を伸ばして愛美の頬にキスをする。
「でもね、さっき靖史くんとしたばかりでしょ。愛美ちゃんのココ大丈夫かなって、ちょっと心配になったのよ」
愛美が慌てて顔を背けた。この明るさではわからないが、顔が真っ赤になっていたに違いない。
「えっ、でも……」
「ちゃんとイカせてあげるわよ。安心しなさい」
「えっ。ヤダっ、私ったら……」
どっちにしても愛美は恥ずかしいことに変わりはないらしい。朋美はいじらしくてならなかった。
――ご主人様だって妬くことはあるんだから
冗談半分で言ったことだが、この先、愛美が靖史の方に傾いていったら、朋美は本気で奪い返そうとするかもしれない。芳樹への想いとは全く別の感情だった。この子を自分だけのものにしておきたい。朋美は胸に渦巻くものを感じた。
「きゃっ。ひやぁーーー」
愛美が悲鳴を上げるのも無理はない。朋美は愛美の股間に体を割り込ませ、邪魔な両足をMの字型に大きく広げさせた。愛美は女の子の大事な部分をこれでもかという程にさらけ出されたことになる。
朋美は無防備になったその部分に顔を埋めた。
「はあぁぁぁ、ダメぇぇぇ……」
いきなりの強烈な刺激に愛美の喘ぎが絞り出される。その声に励まされ朋美も舌も活気づく。愛美の花芯は予想以上の熱気に満ちていた。まだ蕾である筈のそれを一時だけ無理やり開かせたようなものだ。そして、この奥を征服したのは靖史だけ……
朋美は舌先で花芯を舐め上げる。秘孔の入り口からその奥にまで侵入を試みる。
「だ、ダメです、そんな……いいぃぃぃ。イヤっ、ああーん。ともみさん。ああっ、あああ、ああーん、はふっ……うーん、あん、ふぁ、ダメぇ、ああーん」
さっきのバックネットで一度は朋美の指でイク寸前にまで追い込まれ、その後は靖史に貫かれて昇天を遂げた愛美だ。期待通りの反応を見せてくれたが、これではまだ靖史に勝てない。朋美は秘孔から溢れる蜜を貪る一方で、指先を使いクリトリスを探る。包皮に隠された肉の芽は放り出されたままだった。
細く柔らかな指先が桃の皮を剥くような手つきで包皮を撫でる。
「あぐぅ。あああ……」
包皮がはがれた。朋美のキスが、乳首への愛撫が、秘孔への侵入が、それらすべての性感が集約され、愛美のクリトリスは発芽の準備を整えていた。痛々しい程に肥大し、腫れ上がっているようにすら見える。
「かわいいおマメちゃんね」
朋美の舌が一舐めする。
「ひいいいぃぃぃぃぃぃーーー」
愛美の両手が朋美の頭を押さえた。首を何度も横に振る。剥き出しになった性感帯に直接与えられる快感は、バージンを卒業したばかりの愛美にとって刺激が強すぎるようだ。
「ダメよ。まだイっちゃ」
「あがっ、うう、お願い……あっ、ひぃぃぃ……」
クリトリスに軽くキスするだけで言葉が途切れる。
「我慢しなさい。許しを得ないでイッたらお仕置きだからね」
「そんなっ、ああ、ダメぇーーー」
秘密の花びらは熱く燃え上がり、花芯が新たな蜜を吐き出す。
(この子ったら、今は何もしていないのに)
愛美は「お仕置き」という言葉に反応して股間を濡らした。嫌がっているようには見えても、下の口はウソを付かない筈だ。
朋美はクリトリスを、そっと口に含んだ。こわれ物を包み込むような慎重さで刺激を最小限度に止める。焦らしているわけではないが、これ以上すれば愛美は一気にイッてしまうに違いない。
「えっ、朋美さん……? はあーん……」
愛美にとっても予想外だったのだろう。どうしたら良いのかわからない様子だ。
朋美は秘孔の入り口を指で撫でる。あふれ出した愛液で指先は瞬く間にずぶ濡れだ。愛美の喘ぎ声に変化が現れるのを確認しながら、朋美はその指を秘孔に埋めていく。
「ああああああっ。あっ、あっ、はあああぁぁぁ……」
侵攻を妨げるものはない。二本の指がすんなりと根本まで隠れる。肉ひだはさらに熱くなっていた。その侵入に合わせて愛美は背筋を反らせる。頭を支点にして肩が浮き上がる。朋美の舌は、それでもクリトリスを離さない。
「ダメぇーーー。あっ、お願い……ともみ、さん……あっ、ああああああ」
まだご主人様の許可は下りない。愛美は必死になって耐えているのだろう。
(そろそろ限界かしら)
朋美は秘孔をかき回す。指先を上に向け、恥骨の真下で肉ひだをまさぐる。愛美が決定的に変化を示した。
「げぐっ。ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁ」
殺されそうな悲鳴を上げる。朋美が触れたのはGスポットに違いない。愛美は究極のウイークポイントを朋美に知られてしまったことになる。
朋美はその位置を指先に刻み込む。今すぐそこを責めるつもりはない。いや、その必要もない。愛美は陥落寸前だった。指先をそこに当てたまま愛美が落ち着くのを待ってクリトリスを吸い上げた。
「ともみさんっ! ああ……ダメぇ。もうダメぇ。ひぃぃぃぃぃ……あふぁん。あん……あああーん、そんなっ、イヤっ、イヤっ、あん、ダメぇ、ああーん……も、もうダメっ。もうダメぇぇぇーーー」
愛美の体が大きくのけ反り、息が保つ限り喘ぎ続けた。口からはよだれが垂れ流しになっている。電気ショックでも与えられたかのように腰を何度も上下させる。意識はどこかに飛んでいるようだ。
朋美は子供に添い寝する母親の微笑みで愛美の幼い裸身を見下ろした。
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愛美へ
緊縛放置責めの罰をやってきたのだね。
ご苦労さん。
野球場のバックネットに大の字磔か。
思っていたよりハードだったようだね。
でもまさか磔のままエッチしてしまうとは思わなかったよ。
それもご主人様の企てなのかな。
外でハダカになるだけなら隠れたり逃げたりすることができるけど、
どこかに縛り付けられてしまうと見つかった時には大変なことになるよね。
その分ドキドキできるのだけど、怖い課題でもあるわけだ。
これで愛美もワンランクアップかな。
もう次が待ち遠しくてならないだろう。
ご主人様も悪戯が好きみたいだね。
このメールも読んでいるのかな。
愛美を大切に思っているのはよくわかるよ。
磔の間も、きっと近くで見守っていてくれたのだろうね。
いい子にして、かわいがってもらうことだ。
次はどうするつもりかな。
緊縛放置責めの他にも候補になったAVがあるのだろう。
その中から次の課題を決めるというのも良いかもね。
もう一度、露出モノも考えてみたらどうだい。
管理人
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翌朝、と言ってもお昼に近かったが、『露出っこクラブ』の管理人からメールが届いた。先に起きた愛美はパジャマ姿でパソコンの前に座り、このメールを読んでいた。朋美はまだベッドの中でハダカのままだ。掛け布団で胸を隠し上体を起こす。
「あっ、おはようございます」
愛美の笑顔は無邪気そのものだ。
「おはよう……」
カーテンの外は良い天気のようだ。朋美がまだ寝ていたからだろう。愛美は部屋の明かりを点けずにパソコンの電源だけ入れていた。
「返信が来てますよ」
愛美がイスから立ち上がる。
起き抜けのけだるさが残っていた。朋美はちょっと迷ったが、掛け布団を引きずってベッドを下りる。背中とお尻が露わになるのは放っておくことにした。
「ふーん、いつもこんな感じなんだ」
画面をスクロールさせながら、朋美は何度も読み直した。愛美も以前に言っていたが、朋美も改めて思う。この管理人というのはどんな人なのだろう。『露出っこクラブ』というくらいだから女の子を外でハダカにするのが好きなのはわかる。
「愛美ちゃんもワンランクアップだって」
返事はない。代わりに部屋の明かりが点いた。
「そっか。私は悪戯好きなのかあ」
管理人は愛美の他にも多くの女の子に露出の課題を出している。でも、全く無茶な課題を言ってくるわけでもない。「全裸迷子」の方がよほど危険だ。そばにいて命令する側の心理もある程度わかっているように思える。
「次は露出モノだってよ。愛美ちゃん、大丈夫?」
朋美が口に出しているのに、愛美の反応はなかった。後ろに立って同じ画面を見ているものと思っていたのだが。朋美は前を押さえたまま首を捻った。
「きれい……」
愛美がつぶやく。
「えっ?」
愛美の視線が朋美の背中に縫いつけられていた。小さな子供がテレビの画面に夢中になって息をするのも忘れているような……そんな目をしている。
「やだ。私のハダカなんて何度も見てるでしょ」
「だって、朋美の肌真っ白で、すっごくきれいで、羨ましいです」
早朝の公園で全裸になったこともある。お風呂にだって一緒に入った。でもよく考えてみたら、こんな形で素肌を見せたことはなかったかもしれない。
「愛美ちゃんこそ、若々しくてきれいよ」
女の子同士の社交辞令ではない。朋美は本心からそう思っていた。愛美もきっと同じなのだと思う。思うが、そのあまりにも純粋で遠慮のない視線は熱かった。
「もう、そんな目で見られたら恥ずかしくなっちゃうじゃない」
朋美は掛け布団を引っ張って肩から掛け、ベッドの下に脱ぎ捨ててあった下着を拾う。これまで愛美だけハダカということはあってもその逆はなかった。愛美の視線は今も朋美を追いかけている。
「あっちを向いていなさい」
朋美は口に出した。
「は、はい。ごめんなさい」
愛美が慌てて振り向く。ちょっと言い方が強かったかもしれないと気になった。朋美は掛け布団を離し、全裸で愛美の背中に貼り付く。
「そとれも、夕べの続き、する?」
耳の裏に息をかけた。
「ああっ……」
面白いように反応する愛美。パジャマ越しに朋美の胸の膨らみを感じているに違いない。それだけでアソコを濡らしているのだろうか。
「ウソよ。着替えちゃうから待っててね」
朋美は首を伸ばして愛美の頬にキスをすると下着に足を通した。
「期待したでしょ」
服を着ながら愛美の背中に話しかける。
「はい。あっ、いえ……は、はい、ちょっと……」
「ちょっとだけ?」
「あーん、朋美さん、イジワルですぅ」
愛美は背中を向けたまま肩を揺する。朋美にパジャマを脱がされるところを妄想していたようだ。
「そんなこと言っていいのかしら。愛美ちゃんはお仕置きだった筈よ」
「えっ、何のことですか?」
「忘れたの。許可なくイッたらダメだって言ったのに守れなかったでしょ」
「あっ、でも……」
「言い訳はなし。またかわいがって欲しかったら素直にお仕置きを受けるのね」
「……はい」
朋美の着替えは終った。愛美は両方のこぶしを握っていた。肩にも力が入っているように見える。朋美は確信を持った。
「愛美ちゃん。お仕置き、好きでしょ」
反応が一瞬遅れた。
「そんなこと……」
「もうこっち向いていいわよ。私の目を見て正直に答えなさい」
愛美がゆっくりと向きを変えた。立ったまま頭をうつむかせ、ベッドに腰掛けている朋美を上目遣いでのぞき見る。悪いことをした子供が母親にごめんなさいをするのに似ていた。
「でも、お仕置きは怖いです」
それはそうだろう。「全裸迷子」や「全裸磔」が怖くないわけがない。だからこそ「お仕置き」なのだ。にもかかわらず、愛美の返事は「でも」で始まった。つまりその前には肯定の言葉が省略されているわけだ。
「じゃあ靖史くんとのエッチはどうだったの?」
愛美は首を傾けるだけで返事がない。
「磔にされている時のことよ。愛美ちゃんは何も抵抗できなかったわけでしょ。靖史くんのするがまま、されるがまま。この前より感じてたんじゃないの?」
まだ二回目のセックスだ。愛美にわかるわけがない。それでも顔がどんどん上気していくのが見える。朋美に指摘された恥ずかしさではなく、靖史としている時を思い出しているのだろう。そうしている内に朋美と目が合い、顔を両手で覆った。
「愛美ちゃんはMなのよ」
朋美は核心を突いた。
「露出だって私に命令されてしてたでしょ。その前は『露出っこクラブ』の管理人さんに命令された。普段は突っ張っているようだけど、本当の愛美ちゃんはいじめられるのが好きなのよ」
「朋美さん、私……わかりません」
「そうかもね。まだ経験も浅いし……」
朋美は顎に手を当てて間を取る。
「試してみましょうか」
「はい……?」
「今度、SMクラブに連れて行ってあげるわ」
(つづく)
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